終活では「認知症と介護」に不安を感じている人が多い
2025年には、65歳以上の5人に1人が認知症になるといわれています。「5人に1人であれば、それほど多くないのでは」と思うかもしれません。しかし、これを85~89歳の年齢層で見ると、5人に2人という2倍の数値になるといわれているのです。
今や誰もが、認知症を発症する可能性があるのです。
そして高齢になると認知症に限らず、ほかの病気やケガのリスクも高まります。日本人の平均寿命は世界でもトップレベルで、2019年では、男性の平均寿命は81.41歳、女性は87.45歳です。
しかし、健康寿命(健康上の理由で制限されることなく生活できる期間)は平均寿命よりもずっと短く、2016年には男性72.14歳、女性74.79歳。つまり、多くの日本人は約10年間も、健康上の問題でなんらかの制限を受けながら生きていくことになるのです。
「終活」というと、家の整理や相続準備など、死後への対策をイメージするかもしれませんが、「終活に関していちばん不安なことは? 」という問いに、「認知症と介護に関すること」を挙げる方が非常に多いのです。
誰でも自分が死んだあとのことよりも、生きている間のほうが心配ですよね。なかでも、認知症になってしまったら、自分は生活していけるのだろうか、手厚い介護を受けられるのだろうか、家族に迷惑をかけてしまうのではないか、と多くの人が心配しています。
高齢に伴うみなさんの不安が認知症であるならば、実際にどういうことで困るのか、そうならないためにはどうすればいいのかを知って、上手に対応していくことが大切です。
これらのことについて具体的に見ていきながら、不安のない明るい日々を送れるようにしていきましょう。
預金者が認知症とわかると、口座を凍結する金融機関も
認知症になると、ものをよくなくすようになったり、さっきまでしていたことを忘れてしまったり、思い出せないことが増えてきたりします。また、年月日が不確かになったり、買いもののときのお金の計算が苦手になったりもします。
そうなると、判断力や理解力が不十分であるとして、社会生活上の取引きや契約などの財産管理行為や法律行為にさまざまな制限が出てきます。
銀行などの金融機関は、口座を持っている人が認知症だと判明すると、その口座を凍結してお金をおろせないようにしてしまうこともあります。認知症の人の口座が振り込め詐欺などに利用されないように保護するためです。
そうなると、銀行の口座にお金があるのに、それを使えなくなるので、生活に困ってしまう、ということが起こります。
また、自宅の修繕工事や、介護施設への入居などの契約を、自分でやろうとしても断られてしまう、ということにもなります。
これは、「物事を認識する能力に欠ける人が行った法律行為は無効になる(初めからなかったことになる)」からです。契約の相手としては、トラブルを回避するために、このような対応をせざるを得ないのです。
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