終活で大事なこと…家族がもめないように想いを伝える
終活で最も大事なことは、いざというときに備えて、元気なうちから家族などの身近な人たちと、自分の最期や死後のことについて話し合い、自分の想いを伝えておくことです。
「任意後見契約書」「遺言」「尊厳死宣言書」などは、もちろん作成しておくことに越したことはありません。
しかし、せっかくそのような準備をしていても、家族とよく話し合って自分の気持ちを共有しておかないと、「自分が知らない間に、きょうだいが親をそそのかしてこんな書面をつくらせた」「こんな遺言を残すなんて信じられない」などという言い争いが生じかねません。
反対に、家族との話し合いを十分しておけば、たとえ遺言書や契約書などの形に残っていなかったとしても、「あの人はずっとこう言っていたから」と、自分の想いに沿った動きをしてくれるかもしれません。
「そうはいっても、自分が死ぬことや病気のことなんて家族と話しにくい」と思っている人もいるかもしれませんが、なにも死んだあとのことや、病気になったときのことばかり話さなくてもいいのです。
自分が大切にしている価値観や望んでいることを、身近な人に繰り返し話しておくようにしてください。一番大切なことは、たくさん話をして自分の強い気持ちを伝えておくことです。
終活を始めるタイミングは「思いついたとき」
筆者が実施した「終活に関する意識調査」では、実に8割の方が、終活に「非常に関心がある」または「関心がある」と答えています。「非常に関心がある」と回答した割合が最も高い年代は、意外なことに40代です。しかし、以降は年代が上がるにつれ、ほんの少しずつですが関心が低くなっていきます。
40代というのは、そろそろ親の終活が気になりだす世代でしょう。親の終活を考えることが、自分自身の老後にも思いを馳せるきっかけとなっているようです。
ところが、関心はあっても、具体的な行動をとらない方が圧倒的に多いのです。人生の終焉を考える余裕がある時期に何もしないのは、とてももったいありません。
年齢を重ねるにつれて、死について考える余裕がなくなっていくからです。認知症になってしまうと、遺言を残すことが難しくなりますし、身体が思うように動かなくなると、身のまわりのものの整理をするのも億劫になってしまいます。
「ピンピンコロリが理想」といいますが、突然亡くなった人の遺族は何もわからず困ってしまうということもあります。人間いつ何が起こるのかはわかりません。
「人は対策ができるときには何もせず、問題を感じたときには何もできない」とならないように、思いついた今が一番のチャンスだと思います。
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