家族信託は、本人の判断能力が衰える前でも利用可能
「後見制度」(法定後見・任意後見)も「家族信託」も、判断能力が衰えたあとの本人の財産管理を助ける制度です。そのどちらを使えばよいのか迷う人もいるでしょう。そこで、これらの主な違いについて説明します。
①判断能力は関係するのか
すでに本人の判断能力の衰えが相当進んでしまっていると、「任意後見契約」や「信託契約」は結べないので、「法定後見」を利用するしかありません。一方、「後見制度」は、本人の判断能力に問題がない時点では利用できませんが、「家族信託」であれば本人がしっかりしている時点でも利用できます。
②身上監護(身のまわりの法律行為)が含まれるか
「家族信託」は、あくまで財産管理のための制度です。そのため、例えば、本人の介護施設の入所契約を、信託を使って結ぶことはできません。本人の身上監護が必要なときは、「後見制度」を利用してください。
③財産管理者を自分で選べるか
「法定後見」では、裁判所が成年後見人を選任するため、本人が「この人に後見人をお願いしたい」と思っても認めてもらえないことがあります。それに対して、「任意後見」と「家族信託」では、本人が契約の相手を選ぶことができます。
④相続税対策や投資ができるか
「後見制度」では、本人の財産を増やす目的でも、不動産や株式などに投資して運用することは認められません。また、相続税対策のため、収益物件を購入するなどの行為も認められません。なぜなら、後見制度は本人の財産を守るための制度だからです。
しかし、「家族信託」にはそのような制約はなく、受託者の権限内であれば、投資や相続税対策もできます。そのため、資産運用や相続税対策が必要な人は「家族信託」を選べばいいのです。
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