土地の相続税評価額を大きく減額でき、節税効果が高い「小規模宅地特例」。なかには「申告義務はあるが、小規模宅地特例を使えば納税はゼロ円」というケースも。しかしそこには思わぬ落とし穴が潜んでいます。そこで相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の天満亮税理士に、事例を交えながら「小規模宅地特例」にまつわる注意点を解説いただきました。

「小規模宅地特例」と「多額の代償金」で取得価額が…

Aさんが甲さんから相続する土地の評価額は9000万円。小規模宅地特例を使うと20%相当額の1800万円となります。これに家屋その他財産3000万円を足すと、4800万円となります。しかし代償金を8000万円支払うので、Aさんの相続税申告書上の取得財産の価額は「-3200万円」となります。その一方で、Bさんの取得財産は4000万円、Cさんも4000万円となります。

 

ここで、相続税の計算をしてみましょう。

 

相続税の課税対象となる金額は、3名の合計である4800万円(=-3200万円+4000万円+4000万円)なのでしょうか?

 

それであれば、基礎控除額4800万円と同額なので、当初の見込み通り、相続税はかかりませんね。

 

しかし実際は……そういう計算の仕方をしません。個人別の純資産価額は、取得価額がマイナスであれば、「0円」という扱いになります。

 

つまり、Aさんの純資産価額は0円、BさんとCさんは当然4000万円ずつ、となります。したがって、各人の純資産価額の合計である課税価格は、8000万円(=0円+4000万円+4000万円)ということになり、基礎控除額4800万円を超え、結果的に約330万円の相続税が発生してしまうことになります。

 

■まとめ

遺産分割によって相続税は大きく影響を受ける

 

このように、財産の規模だけではなく、どのような遺産分割を行うかということで、相続税に影響を及ぼすことになります。相続の実務では、実際に関わってみないと見えない部分も多く出てきますので、相続実務の経験が豊富な税理士に相談することをお勧めします。

 

 

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