「米国オンライン証券」の顧客満足度調査まとめ
2021年の調査の主なポイントは以下の通り。
■頻繁な不具合の発生により顧客満足度は低下
問題発生率は過去1年間で倍増しており、自己決定型投資家のなかでもセルフサービス型投資家の11%、ハイブリッド型投資家の12%が影響を受けた。
問題発生源として最も多く挙がったのはウェブサイト、取引執行と処理、口座明細書である。これらの問題を経験しなかった自己決定型投資家の間では、総合的なロイヤルティと推奨意向が大幅に増加した。
■ロビンフッドは新規口座開設数トップだが信頼構築に苦戦
今年の1月と2月に米ゲームストップ株騒動の渦中にあった、使いやすくモバイルフレンドリーなネット証券会社であるロビンフッドは、セルフサービス型投資家の新規口座開設数の27%を獲得し、競合他社をリードしたことが本年調査で明らかとなった。
同社の市場シェアは拡大したものの、ファクターとしてみると「顧客対応(デジタルチャネル)」や「手数料」における強みは、「信頼性」「顧客対応(対人チャネル)」「問題解決」ファクターでの低評価により相殺された。
■投資家教育は依然として顧客満足度向上のベストな方法であるが、証券会社はその提供に課題
利用する証券会社が有益なガイダンスやアドバイスを提供していると投資家が強く思う場合、セルフサービス型投資家の間では+148ポイント(1,000ポイント満点)、ハイブリッド型投資家の間では+155ポイント、総合満足度スコアが上昇した。
このように顧客満足度の大幅な上昇が見られるにもかかわらず、自己決定型投資家のうち、証券会社が有益なガイダンスやアドバイスを提供していると回答した人は半数にも満たなかった。
■自己決定型投資家の総合的な金融ニーズへの対応
総合満足度は、自己決定型投資家が1つの証券会社で、証券口座、銀行取引、住宅ローンなど4つ以上の商品を利用している場合に最も高くなる。
セルフサービス型投資家の間では、1つの商品しか利用していない場合と比較し、4つ以上の商品を利用している場合は総合満足度のスコアが+103ポイント高くなった。ハイブリッド型投資家の間では、同様に+76ポイント高くなった。
顧客満足度を向上させるだけでなく、顧客との関係を深めることは取引手数料無料の環境下において収益を上げるためにかつてないほど重要となっている。
■J.D.パワー ウェルス・インテリジェンス部門長兼シニアディレクター マイク・フォイのコメント
「新規の投資家が大幅に増加し、取引量や全体的な稼働率が高まったことで、システムに負荷がかかったことは明らかであり、証券会社がセルフサービス型投資家を顧客として獲得し、維持するために注力しなければならない分野が浮き彫りとなった。
現在、ほぼすべての証券会社が無料で取引を提供しており、新規の投資家のブランド・ロイヤルティが低下しているなかで、顧客満足度の向上実現に向けた正しい仕組みを持つ証券会社は競合他社との差別化を図るチャンスを迎えている。」
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