専業主婦の妻も加入が可能!確定拠出年金をさらに活用
確定拠出年金は積立預金や個人年金保険などより、効率的に老後資金を増やすことができます。定年までにもっと老後資金を増やしておきたいと思うなら、最大限に活用しましょう。
「すでに加入しているんだよね」という人でも、増額はひとつの方法です。
企業型確定拠出年金を行っている会社では、マッチング拠出ができる場合があります。マッチング拠出とは、会社が払っている掛け金に従業員が上乗せして拠出できる制度です。
限度額は、会社の掛け金との合計が月額5万5000円。会社の掛け金より個人の掛け金が上回らないことが条件となっています。この制度があるなら、一度検討してみてください。
マッチング拠出がないのでしたら、個人型の確定拠出年金を利用できます。限度額は月額2万円です。
また、企業年金や企業型確定拠出年金の制度がない会社に勤めているときも、個人型の確定拠出年金になります。このように個人型だけであれば、限度額は月額2万3000円です。
さらに、国民年金の第3号被保険者になっている専業主婦の妻も、個人型の確定拠出年金に加入することができます。所得がないため掛け金の所得控除は使えませんが、運用益は非課税になります。加えて、受け取る際には、退職所得控除と公的年金控除が使えます。
これも検討の余地があると思います。
確定拠出年金は60歳で積立は終了して、運用期間は70歳までですが、税制のメリットを考えれば利用する価値は大いにあります。
なお、加入期間によって引き出し年齢も変わってくるので、注意してください(図表参照)。
株の先行きが怪しくなれば、安定的な商品に変更が可能
確定拠出年金は掛け金の支払いが60歳で終わり、60歳から70歳の間に受け取るしくみです。
メリットの大きい確定拠出年金ですが、60歳を前にした運用のポイントがあります。とくに、リスクの高い株式だけのアクティブ運用をしている人は、注意が必要かもしれません。アクティブ運用とは、市場の平均を上回る指標での運用を指します。
アクティブ運用のリスクについて、例をあげて説明しましょう。
5年後の60歳で確定拠出年金を受け取ろうと考えているAさんは、リスクの高い株式のアクティブ運用をしていました。世界景気は好調で株式も上がり、運用益はかなり出ていました。このままいけば、受け取る際には拠出金額よりも20%も運用益が出る計算になります。
ところが、5年後には状況が一変。地政学リスクが高まり、世界経済が悪化したのです。株価は2008年のリーマンショック並みに下落しました。Aさんの確定拠出年金は20%の運用益が吹っ飛び、マイナス10%まで落ち込む結果に…。
がっかりな結末を迎えたAさんですが、じつは打つ手はあったのです。
確定拠出年金は運用する商品をスイッチングできます。たとえば、日本株式の商品を選んでいたとしましょう。株価は上がって運用益が出ていても、先行きが怪しくなったときには安定的な商品に変更が可能なのです。そして、また株が上昇しそうだと思ったなら、再びスイッチングをすればいいわけです。
確定拠出年金の受け取りが近くなった時期までリスクの高い運用にしておくと、受け取り時点で下がってしまう場合もあります。
そうした事態を避けるためには、リスクの高い商品からリスクの低い安定的な商品に切り替えておくのも、ひとつの方法です。
ちなみに、受け取ろうと思っていた時期に、景気が悪くなって値下がりしてしまうケースもあります。
どうしてもそこでお金が必要だという人もいるかもしれませんが、待てる余裕があるなら受け取る時期を遅らせましょう。また景気が持ち直して、運用成績がよくなった時点で受け取ればいいのです。
長尾 義弘
ファイナンシャルプランナー、AFP
中島 典子
税理士、社会保険労務士、CFP