今年11月に第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が英国グラスゴーで開催されます。4月後半に米国が主催した気候変動サミットでは、温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにするために、米国を始め欧州、日本などが30年までの温室効果ガスの削減目標を引き上げました。足元、具体的な方針が示されており今後の動向が注目されます。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

「相続税の税務調査」に 選ばれる人 選ばれない人
>>1月16日(木)開催・WEBセミナー

G7気候・環境大臣会合:カーボンニュートラルの実現に向け、気候変動対策を確認

英国の主催で主要7ヵ国(G7)による気候・環境大臣会合が2021年5月19~20日に開催されました。G7以外にも数ヵ国が招待され、日本からは梶山経済産業大臣や小泉環境大臣らが参加しました。気候・エネルギー分野においては、カーボンニュートラルの実現に向け、気候変動対策の強化や、エネルギー分野、産業分野の脱炭素化等について議論が行われ、気候・環境大臣会合として、閣僚声明(コミュニケ、図表1参照)が採択されました。

 

出所:G7気候・環境大臣会合コミュニケを参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]G7気候・環境大臣会合の主な内容 出所:G7気候・環境大臣会合コミュニケを参考にピクテ投信投資顧問作成

 

なお、昨年の議長国はトランプ前政権下の米国であったことからG7気候・環境大臣会合は開催されず、今回の会合は2年ぶりの開催となりました。

どこに注目すべきか:G7気候・環境大臣会合、COP26、温室効果

今年11月に第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が英国グラスゴーで開催されます。4月後半に米国が主催した気候変動サミットでは、温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにするために、米国を始め欧州、日本などが30年までの温室効果ガスの削減目標を引き上げました。足元、具体的な方針が示されており今後の動向が注目されます。

 

気候変動に関する国際交渉の場としては国連気候変動枠組み条約締約国会議であるCOPが重視されています。今年のCOP26で議題の一つと見られる30年までの温室効果ガスの削減目標などについて、最近公表されたレポートなどを元に、想定される変化や対策などを述べます。

 

まず、温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロという長期の目標に聞こえますが、短期的な対応が求められるものもあります。例えば、国際エネルギー機関(IEA)が4月18日に公表した、2050年までに世界が温暖化ガスの排出量を実質ゼロにするための工程表(図表2参照)によると、石炭関連のエネルギー新規供給プロジェクトは今後見込み難いことになります。日本の国内大手銀行でも同様の方針を示しているなど、対応が進められています。

 

出所:国際エネルギー機関(IEA)を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]国際エネルギー機関が示した工程表の主な内容 出所:国際エネルギー機関(IEA)を参考にピクテ投信投資顧問作成

 

ただ、図表1のG7コミュニケでも確認されることですが、石炭を使ったエネルギー供給である石炭火力発電がすぐにダメというわけではなく、排出する二酸化炭素の回収、貯蔵(CCS)や再利用などを排出削減対策が伴えば継続を容認する余地が残された模様です。

 

またエネルギー供給では再生可能エネルギー活用への期待が高く、日本に今後の対応が求められそうです。

 

なお、図表1のG7コミュニケは温室効果ガスの削減に向けた提案は多岐にわたるものの、スケジュールには踏み込んでいない面があります。一方、図表2のIEAの工程表はCOP26の参考資料という位置づけとなります。したがって、個別案件についての時間軸のイメージとして参照しています。その観点で自動車を見ると、2030年に向けガソリン車から電気自動車やプラグインハイブリッド、燃料電池車などにシフトする展開が想定されます。エネルギー政策や自動車分野など、今後の日本のグリーン政策に課題は多く、COP26に注目が必要です。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『COP26に向けて、日本は課題が山積みか』を参照)。

 

(2021年5月24日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

日本経済の行方、米国株式市場、新NISA、オルタナティブ投資…
圧倒的知識で各専門家が解説!カメハメハ倶楽部の資産運用セミナー

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【1/7開催】<令和7年度>
税制改正大綱を徹底解説
最新情報から見る資産運用への影響と対策

 

【1/8開催】オルカン、S&P500…
「新NISA」の最適な投資対象とは
金融資産1億円以上の方だからできる活用法

 

【1/9開催】2025年の幕開け、どうなる?日本株
長いデフレ環境を生き抜いたスパークスが考える
魅力的な企業への「長期集中投資」

 

【1/9開催】相続人の頭を悩ませ続ける
「共有名義不動産」の出口は“売却”だけじゃない!
問題点と最新の解決策を藤宮浩氏が特別解説

 

【1/12開催】相続税の
「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【見逃し配信special】

 

 

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧