(※画像はイメージです/PIXTA)

贈与税は、各年の受贈額が110万円以下の基礎控除額以下であれば課税されないため、申告も不要ですが、事情によっては課税対象とみなされるケースがあるため注意が必要です。ここでは、贈与税の課税や控除等について基礎的な内容を解説します。※本記事は、『中小企業&資産家のための税目別誤りやすい税務への対応Q&A』(株式会社ぎょうせい)より抜粋・再編集したものです。

節税効果絶大「贈与税の主な特例」3つを解説

Q2

 

贈与税の主な特例について教えてください。(配偶者控除、住宅取得等資金贈与、教育資金贈与等)

 

A2

 

 1. 配偶者控除 

 

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できます。

 

(1)夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと

 

(2)配偶者から贈与された財産が、 居住用不動産であることまたは居住用不動産を取得するための金銭であること

 

(3)贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産または贈与を受けた金銭で取得した 居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

 

 2. 住宅取得等資金贈与 

 

<制度の概要>

 

○受贈者:子・孫(20歳以上、合計所得金額2,000万円以下)


○平成27年1月1日から令和3年12月31日までの措置。


○令和3年度税制改正では、令和3年4月1日から同年12月31日までの非課税枠を引き上げる改正が予定されている(下図のR2.4月~R3.3月をR3.12月まで延長)
 

出典:財務省ホームページ(一部修正)
出典:財務省ホームページ(一部修正)

 

 3. 教育資金贈与等 

 

<制度の概要>


○親・祖父母(贈与者)は、金融機関(信託銀行、銀行等及び証券会社)に子・孫(受贈者)名義の口座等を開設し、教育資金を一括して拠出。この資金について、子・孫ごとに1,500万円を非課税とする。


○受贈者:子・孫(0歳~ 30歳、所得要件:合計所得金額1,000万円以下)


○贈与者の死亡前3年以内の贈与について、死亡時の残高を相続財産に加算する。


○契約終了時の残高に対して、贈与税を課税。


○平成25年4月1日から令和3年3月31日までの措置。


○令和3年度税制改正では、適用期限を2年延長するとともに、贈与者が死亡した場合には、死亡の日における残高を相続財産に加算(一定の場合を除く)するなどの改正が予定されている。

 

出典:財務省ホームページ(一部修正)
出典:財務省ホームページ(一部修正)

「親から毎年100万円ずつ貰う」と贈与税はどうなる?

「親から毎年100万円ずつ贈与を受ける場合には、各年の受贈額が110万円の基礎控除額以下なので贈与税がかからないと思うが、まとめて贈与があったとみなされることはないか。」これはよく聞かれる質問です。

 

これについては、毎年贈与契約を結び、それに基づき毎年贈与が行われ、各年の受贈額が110万円以下の基礎控除額以下である場合には、贈与税がかかりませんので申告は必要ありません。

 

しかし、毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与を受けることが、贈与者との間で契約(約束)されている場合には、契約(約束)をした年に、定期金給付契約に基づく定期金に関する権利(10年間にわたり100万円ずつの給付を受ける契約に係る権利)の贈与を受けたものとして贈与税がかかります。

 

 

与良 秀雄

iTAX税理士法人 顧問

千葉商科大学(会計ファイナンス研究科) 客員教授

 

 

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中小企業&資産家のための税目別 誤りやすい税務への対応Q&A

中小企業&資産家のための税目別 誤りやすい税務への対応Q&A

伏見 俊行(編著)

株式会社ぎょうせい

中小企業や資産家の円滑な税務対応のために、重要な税情報と、納税者が自発的に適正な税務対応を行うために役立つ情報を提供。特に重要な事項、誤りやすい事項、質問の多い事項をQ&A形式で平易に解説する。

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