相続が発生した際、相続人は「自分に納税義務が生じるのかどうか」をまず懸念します。相続税は、相続人の範囲や順位が厳密に定められており、基本的なポイントを押さえれば、相続税の発生の有無はおおよその見当がつけられます。税理士の与良秀雄氏が解説します。※本記事は『中小企業&資産家のための税目別誤りやすい税務への対応Q&A』(株式会社ぎょうせい)より抜粋・再編集したものです。

相続税の「納税義務者」の範囲をケース別に検証

Q2 

 

相続税の納税義務者の範囲について教えてください。(住所、国籍の判定、これらの組み合わせ)

 

A2

 

【1. 個人が相続または遺贈により財産を取得した場合】

 

個人が相続または遺贈により財産を取得した場合には相続税の納税義務者となります。

 

ただし、人格のない社団や持分の定めのない法人も遺贈により財産を取得した場合には相続税が課税される場合があります。

 

【2. 個人が納税義務者の場合】

 

相続税の納税義務者は、無制限納税義務者と制限納税義務者に分かれ、無制限納税義務者は財産が日本国内または日本国外に所在するかを問わず、全ての財産が課税対象となる一方、制限納税義務者は日本国内に所在する財産だけが課税対象となります。

 

この区分により課税財産の範囲が大きく変わるため、納税者サイドの動向をみながらこれまで幾度も改正が行われ、無制限納税義務者の範囲が拡大してきています。

 

 

複雑な表ですが、それだけ規定が複雑ということです。見方は、まず、縦に相続人の項目を当てはめ、次に、横に被相続人の項目を当てはめていくことになります。交わったところが判定結果です。その結果、呼称は別として、無制限納税義務者となればすべての財産が課税対象となり、制限納税義務者となれば日本国内の財産だけが課税対象となります。

 

【3. 人格のない社団、持分の定めのない法人が納税義務者の場合】

 

代表者等の定めのある人格のない社団(町内会等)や持分の定めのない法人が遺贈により財産を取得した場合で、親族の相続税または贈与税の負担を不当に減少させる結果となるときは、法人を個人とみなして、相続税の納税義務者となります。

 

 

与良 秀雄

iTAX税理士法人 顧問

千葉商科大学(会計ファイナンス研究科) 客員教授

 

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中小企業&資産家のための税目別 誤りやすい税務への対応Q&A

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伏見 俊行(編著)

株式会社ぎょうせい

中小企業や資産家の円滑な税務対応のために、重要な税情報と、納税者が自発的に適正な税務対応を行うために役立つ情報を提供。特に重要な事項、誤りやすい事項、質問の多い事項をQ&A形式で平易に解説する。

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