ヘッジファンドに関心はあるけれども、情報が少なく、二の足を踏んでいる人も多いでしょう。そこでヘッジファンドマネージャーの話から、ヘッジファンドの実態を明らかにしていきます。今回話を伺うのは、国内ヘッジファンドの先駆けである株式会社GCIアセット・マネジメントの山内英貴氏。どのような想いで「栃木の6畳1間」で創業して、グローバルな運用ができるようになったのかを紹介します。

「暴落こそ買い」の信念を貫くために、大手商社と決別

今後「ロングショートファンド」の時代が訪れると言う。
「度重なる株式相場のショックは、損切りのタイミングではなく、エントリーのタイミング」だと言う。

 

――その6畳1間の部屋から抜け出したターニングポイントは何だったのでしょうか?

 

ITバブルが崩壊して金融環境が大きく変わろうとしていた2001年ごろ、大手商社各社が金融事業の領域にビジネスとして進出しようという動きになりました。

 

そこで以前からご縁があった大手商社の方から「一緒にやらないか」と声を掛けていただいたのです。そして、資金面や人的な支援をしていただくことになりました。

 

しかし、大手商社との投資活動は、私たちがやりたい内容というよりは、高級輸入車を販売するようなビジネスモデルでした。どちらかというと、自社運用というよりは、海外のブランド物を輸入して紹介し、私たちがゲートキーパーになって投資家に投資していただくような仕事が主体でした。

 

ただし、そのような活動をしていたなかでも、「グローバルな舞台で勝負がしたい」という想いはずっと持っていました。その流れが大きく変わったのが、2008年のリーマンショックです。

 

協業先の大手商社が金融事業から撤退することになったのです。私たちはむしろこのようなタイミングを「EXITではなく、Entryだ」と思っていたので、このリーマンショックを機に、MBOをして経営権を買い取り、自社戦略の提供にフォーカスしていこうと決断したのです。

 

このリーマンショックを機に腹をくくり、MBOをして経営権を買い取り、自分たちが思っている戦略にフォーカスして運用していこうと決意したのです。

 

――大きな決断に出たのですね。

 

そうですね。

 

自信のある領域にフォーカスして資産運用をやりたいという意思は強く持っていましたし、独立系である私たちが、グローバルな運用会社や大手金融機関と同じことをやっていても仕方がないので、自分たちが自信のある領域で思い切り勝負することにしたのです。

 

 

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インタビュアー/冨中 則文(幻冬舎アセットマネジメント)

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