4%の政策金利を据え置き
■メキシコ銀行(中央銀行)は5月13日に金融政策決定会合を開き、現在4%の政策金利を据え置きました。
■メキシコ政府はこれまで財政による景気刺激策には消極的で、もっぱら金融緩和で景気の下支えを図ってきました。しかし、足元ではエネルギー価格の高騰などを背景にインフレ率が大きく上昇し、金融政策決定会合後の声明でもインフレへの懸念を滲ませており、更なる政策金利の引き下げは躊躇せざるを得ない状況にあります。
景気への配慮とインフレへの警戒、当分様子見か
■弊社では2021年のメキシコ経済について、実質GDP成長率で+4.0%を見込んでいます。米国の力強い景気回復がメキシコ経済を引っ張りますが、メキシコ自身はワクチン接種の遅れに加え、目立った景気対策をとっていないこともあり、その回復ペースは緩やかなものに留まるものと考えています。
■景気への配慮とインフレへの警戒から、中銀は当面様子見姿勢を続けざるを得ないものと思われます。
メキシコペソは堅調推移を想定
ただし、リスクオフには注意
■財政は健全で、与党への高い支持率から政局も安定し、更に頼みの米国経済も力強い回復が期待されることから、メキシコのファンダメンタルズは良好です。このためメキシコペソは堅調な推移が見込まれ、昨年の急落前の水準を目指す展開が今後も続くものと考えられます。
■但し、米国の金融政策の変更が取りざたされ、市場参加者の投資態度がリスクオフに傾く局面には注意が必要です。その場合、メキシコからの資本流出に加え、他の流動性の低い新興市場への投資リスクを下げるためのヘッジ売りも加わり、ファンダメンタルズとは無関係にメキシコペソも調整する可能性があります。値動きに狼狽せず賢明な投資姿勢を継続できるか、投資家として試される局面となるかもしれません。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『メキシコ中銀は政策金利を維持』を参照)。
(2021年5月14日)
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