熊谷雅之氏は著書『教師は学校をあきらめない! 子どもたちを幸せにする教育哲学』のなかで日本の教育問題について語っています。当記事では、現役教師の視点から「いじめ」の実態を明かしていきます。

いじめはマニュアルだけ解決するものではない

「子どもの様子は社会の鏡」です。人の不幸をあざ笑う、嫉妬にまみれた大人の社会を見せるだけ見せておいて、「子どもたちはマネするなよ」「いじめなんてするんじゃない」などという理屈が通用するはずもありません。

 

 

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

 

しかし「大人が悪い」「社会が悪い」といくら言っても、ちっともいじめから子どもを救うことはできません。国も「いじめ防止対策基本法」などを定めていますが、いじめの状況は千差万別なので、マニュアルだけで解決するというものではありません。

 

 

いじめが原因で子どもが自殺をしてしまったというニュースを聞くたびに、

 

「これが自分の子どもだったら……」と考えて本当に胸が締め付けられます。

 

■実際の現場では、どうなのでしょう

 

いじめの定義が、「嫌がらせを受けた方がいじめられたと思えばいじめ」であるならば、確かにいじめはあります。育ってきた環境も違う子たちが集団生活をする以上、何も手だてをうたなければ「いじめはあるものだ」という前提に立った方がよいかもしれません。

「お互いにギャグだと思っていました」

深刻ないじめにあたるものばかりではなく、いわゆる「いじる」といわれる、「軽い感覚でば馬鹿にする」というものは更にたくさんあります。聞くに堪えない発言が飛び交い、注意をすると「いじっていたのであって、いじめてはいません」「お互いにギャグだと思っていました」という答えが圧倒的に多いのです。

 

私は、ここに大きな問題があると思っています。相手の苦しみが想像できていないのです。そして信頼関係がないのにいじりが成立すると思っているのです。しかもだいたいいじる側は多数派で、人を馬鹿にして笑っていれば成立するので、強気で言ったもの勝ちのような雰囲気はあります。

 

現場には、いじる側が「強い子」だと思っている子どもがたくさんいます。でもそれは大きな間違いです。集団で一人をいじめる子がはたして強いのでしょうか……現場でいじめに対処するうえで覚えておいた方がよいと思うことは、「悪の本質は、徒党を組む、組みたがる」ということです。

 

また、以前道徳の授業で、「目の前でいじめが起こっていたら止める人」と聞くと、手を挙げたのは1人でした。正直本当に驚きました。理由を聞くと、「いじめっ子に合わせないと自分がいじめられる」「めんどくさいことに巻き込まれたくない」「いじめを止めに入ったらいじめられたことがある」というものでした。

 

かわいそうに、きっと今までの中で嫌な経験があったのでしょう。子どもも子どもで、人の顔色をうかがうことや、自分がいじめられないようにすることに必死なのです。いじめている側に悪気はなく、周りで見ている子も「事なかれ主義」で済ませようとする。

 

だからこそ、子どもに現場で関わることのできる教師の出番です。むしろ教師の「どんないじめも絶対に許さない。必ず解決する!」という毅然とした態度と情熱があって、いじめを解決することはできると思っています。

 

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熊谷 雅之
愛知県の公立中学校、高等学校を卒業し、創価大学へ進学。
大学では、ダンス部に所属し、数多くの全国大会で入賞。教員採用試験は中学校社会科で受験し、東京都と愛知県で現役合格。そして地元愛知県で教員となる。
その後は、市内の教育論文コンクールで最優秀賞を受賞。
2020年現在34歳。地元の教育者グループ「本物の先生」に所属し、子どもの幸せを第一に考えた教育の実現を目指している。

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『補助金の倫理と論理』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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