日本で亡くなる人は、年間130万人。亡くなる人の数だけ相続がありますが、お金が絡む話にはトラブルはつきものです。今回は40歳差の「年の差婚」、その先に潜む相続トラブルのリスクについて、山田典正税理士が解説します。

40歳の年の差婚…義娘の出した条件は

Bさんの子どもたちにも、きちんと祝福してもらいたいと考えたAさん。そこでBさんの長女と次女と3人で顔合わせをすることにしました。「娘たちにはきちんと私から説明するよ」とBさんは言ってくれましたが、財産目的の結婚でないことをきちんと説明したかったというのです。

 

そして、顔合わせ当日。3人とも緊張した様子でしたが「Bさんと結婚させてください」とAさんが切り出します。おおよその話はBさんから聞いていたでしょう。しかし自分たちよりも若いAさんを見て、2人は動揺しているようでした。

 

そのうえで、Aさんはすべてを話しました。自分がシングルマザーとして3人の子どもを育てていること。金銭的に困窮しているときBさんと婚活パーティで出会ったこと。Bさんを好きになった理由……そこまでゆっくりと説明して、Aさんは長女と次女の瞳をじっと見つめます。

 

Aさん「お2人から見れば、私は非常に胡散臭い存在だという自覚はあります。金銭目的の結婚と言われても仕方がありません。実際、パーティに参加したのも、再婚して困窮する生活から脱したいと思ってのことだったわけですから。でもBさんと一生添い遂げたいと思っています。どうか、私たちの結婚を認めていただけませんか?」

 

真摯なAさんの様子に、長女も次女も「大人である2人が決めたことだから」と納得の様子。「ただ……」と長女は続けます。

 

長女「どうしてもすぐには、あなたのことを信じきれません。だから、ひとつだけ条件を出しても構いませんか?」

 

その条件とは「何かあったとき『財産のすべてを長女と次女だけに遺す』という遺言書を作る」というもの。

 

次女「父が生きている間はお金に困らないでしょうし、これからなら、万が一Aさんが遺されたとき、生きていけるだけの貯蓄もできると思います」

 

長女「父と結婚しても、遺産が手に入ることはない。それでも結婚したいと仰るなら、Aさんを信じることができると思うんです」

 

こうしてAさんとBさんは娘2人の希望通りの遺言書を作成し、無事に入籍を果たしたそうです。

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※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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