地域No.1の医院に…クリニック経営が改善する「スゴい言葉」

人口が減少の一途を辿るなか、クリニックの数はどんどん増加しています。患者の奪い合い、スタッフ不足、診療報酬点数の引き下げなど、クリニック経営を取り巻く環境は厳しくなるばかりです。院長は医療のスペシャリストであっても、経営のスペシャリストではありません。収益をどのように改善していくか、他の医院とどのように差別化を図っていくべきか、解決策を模索している最中ではないでしょうか。ここでは医療機関のコンサルティングを行う筆者が、日々の診療で実践できる経営改善策を紹介します。

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院長先生の考えがスタッフに伝わらない根本原因

クリニックの経営を改善するために、取り組むべきことを具体化するうえで欠かせないのが「言語化」というプロセスです。院長先生から「自分の考えがスタッフに上手く伝わっていないのではないか」という相談が多く寄せられるのですが、院長先生の言葉の内容を正確に理解できていないケースもあるようです。

 

テレビショッピングで有名なジャパネットたかたの高田明元社長は、「商品の魅力を伝えなければないのと同じ」と言っていますが、思いや考えも言葉で伝えなければ「ないのと同じ」です。

 

とはいえ、この「言語化」が非常に難しいのです。例えば診療理念に従い、「患者の立場に立って自分がなにをすべきかを考えよう」「患者に寄り添う医療を提供しよう」と、日頃からスタッフに言っている院長がいるとしましょう。

 

サービスを提供する側として相手の立場に立つことは当たり前ですが、内容が抽象的、概念的過ぎるがゆえに、スタッフは「院長が言っていることはなんとなく分かるけれど、なにをすればいいか分からない」と感じている可能性があります。

 

というのも、そういった言葉は人によって受け取り方が変わるためです。患者に向けて発信する情報としては、概念的な表現で問題ありませんが、スタッフに対しては具体的な行動指針を示す必要があります。

 

では、具体的にどう解決していけばよいのでしょうか? その一つが、スタッフと面談を行い、各人に役割を与え、患者対応についてケーススタディ形式で指示を出すことです。いわゆるマニュアルに近いものです。中には院長の考え方に深く共感し、自分で考えて答えを導き出せる人もいるかもしれませんが、そこまでやれる人はごくまれだと考えておいた方がよいでしょう。

 

診療理念(クレド)を作っているクリニックも多いと思いますが、朝礼時やミーティング時に、折に触れて院長が説明を加えることで理解を深めていくことができます。院長先生からスタッフに歩み寄ることも必要です。

院長が「目標」を共有した結果、クリニックが大繁盛

実例として、「地域で一番のクリニック」を目指して頑張っているAクリニックをご紹介しましょう。

 

なかなか経営を軌道に乗せられていない先輩や同級生のクリニックをいくつも見てきたAクリニックの院長は、強い危機感を持って開業しました。これからの時代、漫然と経営をしていては生き残っていけない。一番にならなければ盤石な経営とはいえない…。

 

そんな思いを胸に、開業前から医療向けの開業セミナーだけでなく、さまざまな業種の経営セミナーにも参加していた他、かなりのノウハウ本も読破し、「経営者」になる準備を整えていました。

 

院長は自分自身が掲げる目標を胸の内に留めるのではなく、スタッフにも伝えています。

 

「私は、このクリニックを地域医療の中でなくてはならない存在にしたいと思っています。そのためには“地域で一番”にならなくてはなりません。どうか皆さんの力を貸してください」

 

情熱的な院長のリーダーシップにより、クリニックで働くスタッフの士気は総じて高く、日々の仕事においてもよい緊張感が走っています。地域でも大流行りのクリニックの一つになっています。

どんなことでもアリ…「地域で一番」は院長それぞれ

ではAクリニック院長の考える「地域で一番」とはどういう状態を指すのでしょうか?

 

「来院患者の多いクリニック(収入が一番)ということでしょうか」

 

院長はそうお答えになりましたが、一番になれる指標はたくさんあります。患者満足度、スタッフの働きやすさ、患者のリピート率…。経営という観点からいえば、どれも「正解」です。

 

確かに最も分かりやすいのは、来院患者数(収入)でしょう。民間企業においても、売上規模が最も大きい会社を「業界ナンバーワン」と呼びますが、そこにとらわれる必要はありません。

 

仮に売上ナンバーワンだったとしても、宣伝や集客が上手くて新規患者数は多いものの、ドクターやスタッフの対応がイマイチだとすれば、真の一番といえるでしょうか?

 

決して目立ちませんが、地域で30年間地道にコツコツと積み上げ、多くの根強いファンがいるクリニックは、ある意味で「一番」と言えるのではないでしょうか?

 

その良し悪しは個々の判断に委ねられるので、なにに重きを置くかは院長先生が決めなければなりません。アカデミー賞のように、ノミネートされる項目はたくさんあっていいのです。

 

●スタッフの接遇

●アメニティの充実度

●待ち時間の少なさ

●医療機器の充実度(最新の機器がそろっている)

●挨拶が明るく、さわやかである

 

このように、「地域で一番」になるのはどんなことでもいいのです。大切なのは、患者の期待値を超えるレベルを目指し、患者の記憶に残ることです。(保険診療分野に関しては)提供できるサービスにそれほど大きな差はありませんが、なにか一つでも患者が「サプライズ」と感じる要素を作って認知が広まれば、やがて収入面でも「地域一番」のクリニックになれるでしょう。

 

 

柳 尚信

株式会社レゾリューション 代表取締役

株式会社メディカルタクト 代表取締役

 

 

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株式会社レゾリューション 代表取締役
株式会社メディカルタクト 代表取締役 

会計事務所系コンサルティング会社にて、医療機関のコンサルティングを行う。

経営戦略立案、管理会計、人事労務ほか事業承継(M&A)も手掛ける。

また、各地区医師会やハウスメーカー、医療機器メーカー等で、セミナー講師として講演を行い、日経メディカルオンラインでコラム「開業の落とし穴」を第51回まで執筆するほか、日経ヘルスケアで「診療所経営駆け込み寺」を連載する等、セミナー講師・原稿執筆の実績も多数。

著者紹介

連載クリニック経営はレセプトが9割

※本連載は、柳尚信氏の著書『クリニック経営はレセプトが9割』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

クリニック経営はレセプトが9割

クリニック経営はレセプトが9割

柳 尚信

幻冬舎メディアコンサルティング

人口は減少の一途をたどり、クリニックも激しい生存競争にさらされる時代。売上の伸び悩み、他院との差別化がうまくできていないなど、経営に頭を抱えるドクターが増えています。 そんな方々を助けるカギとなるのが、診療報…

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