金融政策は据え置き
中銀は労働市場の回復を評価
■豪州準備銀行(RBA)は5月4日の金融政策決定会合で、翌日物金利と3年物国債利回りの目標を0.1%に維持し、国債購入プログラムも据え置きました。
■声明文では、「豪州経済は予想よりも強く、回復は今後も続く」としており、労働市場を中心とした回復を評価しています。また、同時に発表した経済予測では、2021年の成長率を前回の3.5%から4.75%へ大きめに引き上げました。
インフレ率の加速は緩やか
2024年まで金利据え置き継続へ
■一方、インフレについては「インフレ率と賃金の加速は予想されるものの緩やか」としており、2021年の基調的インフレ率の予想については1.5%と、前回の予想である1.25%からの修正は小幅でした。
■こうしたことから、「実際のインフレ率が2~3%の目標範囲内に持続的に収まるまで翌日物金利を引き上げない」、「2024年までにこれらの条件が満たされるとは予想していない」と政策金利据え置きを続ける方針を改めて示しています。
インフレ上振れなら豪ドルは上昇も
■ただ、声明文にもあるように、「3月の失業率は5.6%に低下し、就業者数はパンデミック前の水準を上回っている」状況です。雇用の回復はほぼ達成しつつある中で、緩やかながらもインフレ率がRBAの想定以上に高まることがあれば、金融緩和の縮小観測につながる可能性もあります。
■豪ドルはこのところ対ドルで一進一退の展開が続いています。しかし、金融緩和の縮小観測が生じれば豪ドルが他通貨に対して上昇する局面も想定されます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『豪州準備銀行は金融政策を据え置き』を参照)。
(2021年5月6日)
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