修繕できず、生活環境の悪化が深刻なマンションが増加
多額のローンを利用して、やっと手に入れたマイホーム。ただ購入したら終わりではないのが、頭の痛いところです。
一戸建てであれば、10年から20年で屋根や外壁の修繕が必要となり、その費用は規模などにもよりますが、100万~200万円程度。高齢者がいたり、また自身が年老いても住むことを考えると、それに即したリフォームも必要となります。水回りなどの修繕も、かなりの金額になりますから、それらを見越して貯蓄をしていかないといけません。
30代後半から40代にかけては、給与も大きく増える時期。厚生労働省『令和2年賃金構造基本調査』によると、30代後半の平均年収(概算)は610万3500円、40代前半で687万6100円、40代後半で758万6300円。子供の教育費も増えていく時期ですが、この給与からマイホームの将来を見据えて、維持・修繕費を計画的に貯めていくことになります。
戸建てであれば、「もう少しお金が溜まってからリフォームを考えよう」「必要最低限の修繕に留めよう」など、ある程度、自身のライフスタイルに合わせて、修繕プランを考えることができます。問題はマンションの場合です。
国土交通省『平成30年度マンション総合調査』によると、マンションに住む人の62.8%は「永住したい」という意志を持っています。しかしそれが叶わない事態に陥っているマンションが増えています。
バブル期に購入した郊外のマンションに住む、とある60代夫婦の場合、マイホームの売却、引越しを決めたそうです。地域のランドマーク的な存在のマンションで、終の棲家になることを意識して、予算的にも少々頑張って購入したのだとか。ローンはすでに完済。しかし築40年。当時は洗練された雰囲気だったマンションも、いまは修繕が必要なところが至る所に散見されるといいます。
管理組合では度々、大規模修繕の是非が議題にあがりますが、ことごとく否認され、修繕が進む見通しは一向に立っていません。
修繕費用は積立金では足が出るため、住民にプラスαの出費が提案されています。修繕反対派の多くは、賃貸として貸し出しているオーナー。投資が回収できたら売却するつもりだから、自分が所有している間に追加の出費は避けたいと考えているのだとか。分譲として売り出されたマンションも、多くの住民が売却し引越し。賃貸率は4割を超えています。
前出の同調査によると、賃貸戸数割合が20%を超えるマンションは17.1%。また、総戸数に対する所在不明・連絡先不通の住戸の割合が20%超のマンションは2.2%、0%超~20%のマンションは 1.7%となっています。
マンションでは問題となる大規模修繕。たとえ分譲であっても、築古になれば賃貸率は上がっていきます。賃貸率が高くなれば、修繕は計画的に進まず、生活環境の悪化は避けられません。
「最近、引越しする人多いわね」
そんな分譲マンションは、要注意かもしれません。
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