68歳から受給すると「125.2%アップ」が一生涯続く
受給開始年齢を後ろにずらすほど、毎月もらえる年金の額が増える一方で、もらえない時期が長くなります。ということは、残念ながらかなり早く亡くなってしまったら、「もっと早くからもらっておけばよかったよ……」と後悔するわけです。逆に長く生きれば、もらえる総額はどこかの年齢で追い越します。
どの年齢で追い越すのかを、現行の制度と、改正後の制度(2022年4月から)とで見てみましょう。いずれでも、条件は次のように仮定します。
●65歳から毎月20万円年金をもらう
●各々の年齢で1年分受け取れる
現行制度の場合(図表1)
●受給開始年齢を60歳にすると月額14万円。逆に、70歳に先延ばしすると月額28.4万円受け取ることができる
●65歳受給開始の場合、60歳受給開始より受取総額が多くなるのは76歳から
●68歳受給開始の場合、60歳受給開始より受取総額が多くなるのは78歳から、65歳受給開始より多くなるのは79歳から
●70歳受給開始の場合、60歳受給開始より受取総額が多くなるのは79歳から、65歳受給開始より多くなるのは81歳から、68歳受給開始より多くなるのは84歳から
同様に分析すると、改正後については次のようになります。
改正後(2022年4月施行)の場合
●受給開始年齢を60歳にすると月額15.2万円。逆に、70歳に先延ばしすると月額28.4万円、75歳にすると月額36.8万円受け取ることができる
●65歳受給開始の場合、60歳受給開始より受取総額が多くなるのは80歳から
●68歳受給開始の場合、60歳受給開始より受取総額が多くなるのは80歳から、65歳受給開始より多くなるのは79歳から
●70歳受給開始の場合、60歳受給開始より受取総額が多くなるのは81歳から、65歳受給開始より多くなるのも81歳から、68歳受給開始より多くなるのは84歳から
●75歳受給開始の場合、60歳受給開始より受取総額が多くなるのは85歳から、65歳受給開始より多くなるのは86歳から、68歳受給開始より多くなるのは89歳から、70歳受給開始より多くなるのは91歳から
家系的に長生きする、でも預貯金が寂しい、子どもがまだ自立していないなど不安要素がある人は、70歳まで働くプランを作り、68歳になった時に一旦「しんどいから仕事を辞める」「生きがいのために働き続ける」という2つの選択肢を選べるようにしておくのがベストです。
65歳から年金受給を3年先延ばししただけでも、125.2%の年金額アップが一生涯続きます。投資信託や個別株で儲けようとしても、これほど確実に増やせる方法はありません。
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