人生折り返し地点を過ぎると、定年退職や介護、相続など様々なイベントや問題が発生します。しかし、事前にトラブルの対処法を知っておけば安心です。今回は、よく起こりがちな「相続争い」とその対処法について事例を交えて解説します。※本連載は、横手彰太氏の著書『老後の年表 人生後半50年でいつ、何が起きるの…? で、私はどうすればいいの??』(かんき出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

「相続税の節税だけが目的のアパート所有」には注意!

相続対策というと、節税ばかりを気にする人がいますが、節税だけを相続対策の一番の目的にすると、残された家族が「負の財産」を引き継ぐことになりかねません。この相続対策で盛んに行われているものがアパートの所有。そもそもの節税の仕組みは次のようなものです。

 

現金が1億円あった場合、相続税を計算するための元になる相続税評価額は額面の1億円となります。でも、この1億円を使って収益不動産であるアパートを購入もしくは建設すると、アパートの相続税評価額はおよそ3分の1程度に圧縮できるのです。

 

借金で購入した場合は、さらに相続税の節税メリットがあります。プラスの財産から借金額を差し引いて評価額を算出することができるからです。

 

確かに計算上では、相続税は大幅に節税できることになります。しかしアパート経営の本来の目的は、家賃収入を継続して得ること。不動産賃貸業として成立している必要があります。

 

ただ、実情は節税メリットだけを追求して、賃貸需要のないエリアにアパートが乱立するといったケースが珍しくありません。

 

あなたも地方や郊外でドライブをした時に、田んぼや畑の真ん中になぜアパートが建っているのか不思議に思ったことがあるのではないでしょうか。これらはほとんどの場合、節税目的のアパート。

 

不動産会社は、空室リスクに対処するといって借り上げ保証であるサブリース契約を進めていますが、約束された家賃の額が永続的に変わらないわけではありません。契約書には数年後に家賃の見直しを行う条項が記載されており、不動産会社は保証家賃の値下げを迫ってくることがあるのです。

 

さらに、10年も経過すれば建物の修繕(しゅうぜん)コストもかさむでしょう。将来の金利上昇リスクも考える必要があります。賃貸需要のないエリアでの節税ありきのアパート建築は、相続対策で失敗するパターンの王道です。絶対に手を出してはいけません。

 

 

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老後の年表 人生後半50年でいつ、何が起きるの…? で、私はどうすればいいの??

老後の年表 人生後半50年でいつ、何が起きるの…? で、私はどうすればいいの??

横手 彰太

かんき出版

老後は多くの問題が降りかかってきます。 ただ、 問題が何歳頃に、どんなふうに起きやすいのかを知っておけば、事前に対策が立てられて、被害を小さくすることができる 場合もあるのです。 そこで 本書では、「老後の年表」…

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