「株価の大暴落」は想定しておく
まずは、大暴落を想定しておくことです。
たとえば2020年の新型コロナウイルス感染拡大が始まった時に、株式市場ではどのようなことが起きたでしょうか?
1月31日の日経平均株価は約23,205円でした。ところが感染が拡大していき、1か月半を過ぎた3月19日には約16,553円となってしまいました。この間の下落率は約28.7%です。
また、2008年の米国投資銀行「リーマン・ブラザーズ」の破綻では、9月5日に約12,212円だった日経平均株価が、9月15日のリーマン破綻後、10月10日には約8,276円となってしまいました。35日間で、約32.2%の下落となります。
加えて、このリーマンショックの前年には米国でサブプライム住宅ローン危機があり、世界中で持続的な株価下落が起きていました。そこで2007月12月28日から2008年12月26日までの約1年間で見てみると、日経平均株価は約15,308円から約8,740円に下がっており、下落率は約42.9%となります。
株価というのはこのように、下がる時には一気に下がります。ここでは日経平均株価を例に挙げて紹介しましたが、もちろん個別銘柄でもそれは同様です。
ですから、一定の現金を残しておく、信用取引をしない、割安であると判断したときのみ買う、ロスカットの金額を厳守するなど、大暴落が起きても退場しなくて済むような、余裕を持った投資をするべきなのでしょう。そしてそんな余裕があれば、逆に大暴落が起きた時に買い増しをして、その後の値上がりで利益を得ることも可能なのです。
短期での過大なリターンを求めない
株式投資は、あくまで「資産運用」です。
確かに不確実性は存在しますが、ギャンブルのように、外れればゼロになり、当たれば何倍にもなるような賭けではありません。おまけに、世界の経済や株式市場というのは基本的に成長し続けているものなので、長い目で見れば勝率がプラスになるのが株式投資でもあります。
ですからその特性を理解したうえで、退場しないための心構えとして、短期での過大なリターンを求めないことも重要です。
以下に、世界一の投資家とも呼ばれるウォーレン・バフェット氏の投資成績を紹介します。まだ個人で投資組合を営んでいた若かりし頃のもの。この頃はまだ運用資金が少なく様々な投資先へ自由に投資できたため、後年よりリターンは大きかったようです。
1957年リターン10.4%
1958年 リターン40.9%
1959年 リターン25.9%
1960年 リターン22.8%
1961年 リターン45.9%
1962年 リターン13.9%
1963年 リターン38.7%
1964年 リターン27.8%
1965年 リターン47.2%
1966年 リターン20.4%
1967年 リターン35.9%
1968年 リターン58.8%
1969年 リターン6.8%
平均リターン30.4%
(ウィリアム・N・ソーンダイク・ジュニア『破天荒な経営者たち』より引用)
本当の意味での投資の巧拙は別として、このように記録上は最高のパフォーマンスを上げていた頃の彼の平均リターンでさえ、30%を超える程度なのです(投資家として、これは物凄い数字なのですが)。
その間、2倍(100%)のリターンを上げたこともなければ、逆に元手をゼロ(-100%)にしてしまったことももちろんありません。元本の安全に留意しながら、彼は少しずつ運用資金を増やしていったのです。
ですからそんなバフェット氏にならって、短期での過大なリターンを求めたハイリスクな投資をしないこともまた、退場を防ぐための心構えだといえるのではないでしょうか。
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