「ウォルマート」の売上は「セブン&アイ」の8倍
アマゾンの株価は過去5年で約6倍に上昇しましたが、ウォルマートの株価も約2倍に上昇しています。
ウォルマートは、ネット企業を買収するなどして、アマゾンに対抗したEC拡大戦略が奏功しました。ウォルマートは2020年1月時点で米国に5355店舗、海外で6146店舗展開しています。このなかには子会社化した西友の333店舗も含まれていましたが、11月に西友の株式を楽天と投資ファンドのKKRに売却して、日本市場から撤退すると発表しました。
ウォルマートの2020年1月期の売上は前年比2%増の5240億ドル(約55兆円)、純利益は149億ドル(1.6兆円)でした。2021年度2Qの売上も前年同期比5.6%増と好調で、米国のEC売上は94%も伸びました。
ウォルマートは2020年9月から、「アマゾン・プライム」に対抗して、会員制の即日宅配サービス「ウォルマート+」のサービスを開始しました。ウォルマートにはプライム・ビデオのようなエンターテインメント・サービスは付随していませんが、配送時間指定がアマゾンの2時間の半分の1時間単位という極め細かいサービスを行なっています。取扱商品数は数億品目というアマゾンにかないませんが、ウォルマートは生鮮に強みを持ち、約16万品目を配達します。
一方、日本を代表する小売業であるセブン&アイ・ホールディングスの2020年2月期の売上は6.6兆円、純利益は2182億円ですので、ウォルマートの売上のほうが8倍以上も大きくなっています。国内消費の低迷に加えて、低採算事業の抜本的な構造改革の遅れなどもあり、セブン&アイ・ホールディングスの株価は過去5年に3割以上下落しています。
菊地正俊
みずほ証券エクイティ調査部 チーフ株式ストラテジスト
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