右肩上がりでも「振幅の大きい銘柄」は仕掛けやすい
倒産しない限り、株は上げたり下げたりで上値下値の往復と言える。ただ、総じて右肩上がりなのか、往来相場なのか、右肩下がりか、見極めが大切である。
基本的には、上げ相場の銘柄の中から買う銘柄を選ぶのが理想だ。上げている途中での押し目ならば、多少間違っても損にはならない。持ち合いであっても、押し目ならば、吹き上げの時のチャンスはある。
NEC(6701)の株価を見ると、基調は右肩上がりである(図表1)。しかし、株価の振れは結構大きく、今はやりの通信インフラの銘柄にしては、強弱感が対立している。ただ、時々大きな押し目があるから、それなりに「仕込みのチャンス」が多い。
この銘柄の動きの特徴は、突然上げては、その後にだらだら下げて、陰線が7本から10本出ると、急に窓を開けて急騰する。
通信インフラの材料と、来季減配含みという強弱の材料が対立しているためと考えられるが、信用倍率も強弱感が対立して1倍以下となる「好取組」で、この手の銘柄は仕掛けやすい。
この銘柄では、上値を追わないで、大きな陰線が現れて、下押しが見られた時に買うのが、最適だ。下値では、信用の売りの買戻しがあるので、よほどのアクシデントでもない限り、株価の大暴落はないと予測できる。
似たような銘柄はいくらでもある。強弱感の対立から、株価の振幅の大きい銘柄を狙い、「下げたら買い、吹いたら売り」を繰り返すと、良い成果が得られるに違いない。
ただ「この銘柄が好きだ」と言っても、売買のタイミングが悪いと、利益が膨らむどころか、損切りの憂き目に遭うので、用心が大切である。
人気銘柄の「安値惚れ」は損する原因
癖の悪い銘柄というのもある。ここではソニー(6758)の週足を参考にしてみよう(図表2)。世界的な知名度抜群で、業績の好転が伝えられているのに、大半の銘柄が右肩上がりを買う相場の中で、ソニーのトレンドは下向きで、安値更新が目立つ。
業績が良いと言われているだけに、この銘柄を持つ人はあまり、嬉しくはないだろう。週足や月足を見る限りでは「そろそろかな」という気がしないわけではないが、実は「人気があり過ぎる」というのが負担になっている。
外国人の持ち株比率の高い東京市場の中で、その外国人に人気のあるソニー。信用倍率を見ると、極めて「買い長」。言うならば、「重過ぎる取り組み」である。
買いが多いというのは、「先高期待」が大きいということだが、それにしては、株価が冴えない。
そのために、信用の買い手は利益確定のチャンスが少なく、反対売買の期限が来ても、利益確定どころか、「損切り」を余儀なくされるのである。
いかに人気があり、暴落の心配がないとはいえ、買っても上げないどころか、ジワリと下げるこの手の銘柄には、手を出さないほうが得策だ。
トレンドが横ばいの銘柄は「押し目買い」が鉄則
銘柄の選び方によっては「イライラ」が募る場合があるので、要注意だ。例えば東京建物(8804)の日足を見ると、典型的なイライラの動きである(図表3)。
1300円付近での長期の持ち合いがあり、小幅のトレードも考えられるが、うっかり飛びつき買いをすると、いくら待っても「含み益」にならない。
陰線と陽線が交互に出て、しかも、株価水準は横ばい。よほど注意して仕込まないと、利益確定ができない。
「陰線と陽線が横ばいで交じる」。この手のチャートの銘柄は、押したら買い、吹いたら売る、このサイクルを使わないとうまくいかない。
逆は絶対ダメである。うっかり、「吹き値で買う」過ちをやってしまうと、どうにも動きがとれなくなるからだ。トレンドが横ばいの銘柄には、本来手を出すべきではない。買うタイミングは、明らかに押し目が明確になった時、かつ業績が好転することが大前提である。上げの勢いに悪乗りすると、失敗する。
上げの翌日は下げかもしれない。この懸念を常に持ち、絶対に高値は追いかけない。あくまでも「押し目」で買う。出来高が増えて株価が上げていくと、つい飛び乗りたくなるが、その欲を封印する。この姿勢が株で勝つための鉄則である。
他人と同じ行動をしても、株の世界では、成功率が極めて低い。「買いたい…」こう思う時は、ひと呼吸し、冷静になることだ。後で涙しないために。
石井 勝利
経済評論家
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