「長い下ヒゲ2本」は、買いのベストタイミング
株を買い、その後に利が乗って、利益確定する。これは誰もが願う株価の動きである。
買いの最高のタイミングは「底値」を冷静に見付けることでつかめる。間違ってはいけないのは、「押し目」ではなく、「底値」を確認することである。
株では「下げる」ことを「押す」と呼ぶので「押し目」は、上げている途中の下げだけでなく、下げている最中の一段の下げもある。ただ、これは底値ではない。
「底値」は、ガンガン下げて、あきれるほど下げて、「コツン」と来たタイミングである。「これ以上は下げようがない」というレベル。
見極めが難しいのは、押し目と底値が似たタイミングになるからだ。ほとんどの人は「底値」を買えず、上がり始めたところでようやく気づき、少し下げたところで買おうとする。
なぜなら、怖いからである。これまでガンガン下げたから、保有銘柄に大きな損が出ている可能性が高い。
株を買うには勇気がいる時だ。ここをあえて買おう。その勇気がないと、株では儲からない。
大底では、得てして「投げ売り」が出るものだ。だから、下げも急になる。いくらでも良いから「成り行きでの売り」が出るわけである。
ここで、テクニカルの分析をすれば、チャートでは「下ヒゲの長いローソク足」が出る。別に、難しくはない「底値シグナル」である。
「下ヒゲ」は、1本でも十分だが、2本出れば、反転の確率が極めて高い(図表1)。このチャートをたくさんの銘柄から選び出し、うまく買うことが、勝利の習慣となる。
その時々の相場を「歴史上では、どの位置か?」で分析
相場でも、経済でも、流れがある。景気拡大や景気後退も長い目で見れば、交互にやってくるひとつの流れである。
1989年に38000円を超えた東京市場の日経平均株価は、バブル崩壊により下降をたどり、2008年10月28日に6995円の最安値を付けた。
麻生政権時代のことだったが、この後の民主党政権でも東日本大震災などの不幸が重なり、経済は浮上することはなく、株価も低迷した。
第二次安倍内閣になると日銀の金融緩和に支えられて、「アベノミクス相場」が立ち上がり、株価は勢いづき、23000円を超えるまでに復活した(図表2)。
これから後、相場がどのように推移するかはわからないが、株式投資は時の流れに乗ることが賢明なので、歴史的な流れを意識したい。
超目先のデイトレも面白いが、大きな流れを掴んでトレンドに乗る投資が一番成果が大きいことは確かである。
そのために、目先だけではなく、大きなトレンドを日々のニュースなどから的確につかむ力をつけておきたい。
株価の方向性は誰もが完璧に読み切ることは困難だ。しかし、何かの異変があった時に、長期的なトレンドの「どの位置」にいまあるのかを、常に把握する眼を持つことは、大切な資金を投資する立場として、怠ってはならないことである。
銘柄ごとの「動きの癖」は強力な判断材料
株価の動きのその先は、誰もが読み切ることは困難だ。しかし、傾向は読める。徐々に上げているのか、下げているのかは、株価チャートを見ればすぐにわかる。
これから買いたいと思う銘柄があったとして、その銘柄の日足はどうなのか、「上げているか、下げているか」「押し目か吹き値か」などを良く見ることが大切だ。
それぞれの銘柄には、同じ上げであっても、陰線が多い、陽線が多いなどの癖がある。それを見抜く目を持つと、勝負に強くなる。
例えば日足で陰線が多いのは、「寄り付き高値」の傾向がある銘柄である。こうした銘柄は朝の寄り付きで信用の売りをしておけば、得てして下がるので、そこで買戻しを繰り返せば、利益確定のチャンスが多くなりやすい。
逆に、陽線の多い銘柄は、寄り付きは弱いが徐々に株価が上がり、始値よりも終値のほうが高い。だから毎日、朝の寄り付き付近で買えば、傾向として始値を上回ることが多いので、買いから入る投資での利益確定の可能性が高くなる。
花王(4452)の日足を見ると、業績好調を反映して勢いのある動きをしている(図表3)。ただ、陽線ばかりではなく、強烈な陰線も交じっている。この動きは上げ過ぎた後の利益確定の売りが影響していると思われるので、上げた翌日は買わない。下げた翌日に様子を見て買うような方法なら、利益を取れる可能性が高まる。
株価の動きは銘柄により、癖がある。それをしっかりつかみ、頭に入れて、「こうなったらこう動くだろう」とシミュレーションをしておくことで、買い時売り時を見極められるのだ。
石井 勝利
経済評論家
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