妊娠中に夫が不倫をしていた女性。身重の妻がいる既婚者と関係を持った相手女性を許せず、慰謝料請求を考えています。請求は認められるのか、訴訟よりも和解のほうがベターか? 弁護士が解説します。※本連載は、三輪記子氏の著書『これだけは知っておきたい男女トラブル解消法』(海竜社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「和解するか訴訟するか」は弁護士に相談を

和解金額について考えるときも、裁判例が参考になります。

 

和解金額の算定にあたって考慮される要素は様々であり、当事者の年齢、婚姻期間、子の年齢・養育状況、学歴、職業・地位、収入、資産、当事者の婚姻関係が円満であったかどうか、不貞行為の期間・回数等々が考慮されます。

 

医師などの一般的に高額所得者とされているケースであっても裁判で認められている慰謝料金額は数百万円程度ですから、不相当に高額な和解金を求めると双方合意が得られないでしょう。早期解決・回収の確実性といった観点からは裁判よりも和解をおすすめします。

 

しかし、どうしても気がすまない、裁判所に相手をひきずりだしたいんだということであれば訴訟もやむなしなのかもしれません。

 

不貞行為の慰謝料請求については、ご本人のお気持ちの部分が大きいので証拠関係もふまえて、訴訟提起をするか任意交渉からの和解にするかも含めて弁護士に相談することをおすすめします。

 

訴訟提起前に和解をするのか、訴訟を提起するのか、いずれにしてもあなたの気が少しでも晴れることを願います。そして、健康な赤ちゃんを産むことができますように。

 

【不貞行為の証拠を掴むために探偵・興信所を利用するときの注意点】

●浮気・素行調査の費用は、調査日数・調査人員・探偵事務所の料金体系によっても左右されます。

 

●調査員1名の時間あたりの単価は7,500円から10,000円前後、調査員2名で行うケースだと、1時間当り15,000円〜20,000円前後、そこに実費と成功報酬が加わる料金体系が多いようです。

 

●探偵の資格が必要なアメリカなどとは異なり、日本では探偵業を行う際に、国家資格や公的な資格が求められることはありません。そのため悪質な探偵も存在します。「調査報告がない」、「調査料金が高すぎる」、「高額な解約料を請求された」など、探偵に依頼してトラブルなったケースが、国民生活センター、弁護士、調査業に関わる業界団体に数多く寄せられるという実態があります。

 

●浮気・素行調査を依頼する場合、できるだけ多くの探偵事務所の情報を集めて、信頼できる事務所を選びましょう。

 

<まとめ>
●早期解決・回収の確実性といった観点からは裁判よりも和解がおすすめ。

 

 

三輪 記子
弁護士(第一東京弁護士会)

 

 

これだけは知っておきたい男女トラブル解消法

これだけは知っておきたい男女トラブル解消法

三輪 記子

海竜社

情報番組のコメンテーターとして活躍中の女性弁護士が書き下ろす女性のための法律バイブル! 離婚問題、各種ハラスメント問題に対して真摯に取り組んでいる彼女だからこそ放たれる金言的なアドバイスの数々。 婚約破棄、…

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