売春防止法には触れないが、妻から訴えられる可能性も
また、あなたに彼の生活を壊すつもりがなくても、彼とあなたの関係が彼の妻に露呈した場合には、あなたは彼の妻から不貞行為に基づく損害賠償請求をされる可能性もあります。
そのため、あなたのご相談に対しては、「その28万円を回収しようとは考えずに諦めるほかないと思います」と回答します。
あなたと彼との愛人契約は公序良俗違反として無効となるという話をしましたが、そうすると、「私のやっていたことは違法? もしかして売春になるのかも? 逮捕されたりしますか?」と心配になったかもしれません。
売春防止法を見てみると、売買春自体は「違法」とされています。
売春とは何か、というと「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交すること」とされています。
そうすると、あなたは「特定の」彼とだけ関係を持っていたのですから売春にはあたらなさそうです。
パパ活は処罰対象に、金銭要求は「恐喝罪」になり得る
では、彼は買春したとして逮捕されないか、というと逮捕されたりすることはありません。
単純な買春行為は違法とはされているものの(「何人も、売春をし、又はその相手方となってはならない」)、売春防止法が罰則つきで禁止しているのは売買春によって利益を得るような行為のみですから、彼が罰を受けるようなこともないでしょう。
だとしても、彼は未成年者であるあなたと肉体関係を持っていますので、その点が各都道府県の青少年の健全な育成に関する条例(自治体によって名称が異なる場合があります)違反になることもあります。
例えば東京都の条例では、「何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行ってはならない」(同条例第18条の6)とされており、これに違反すると2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処する(同条例24条の3)とされているので、東京都の条例に違反しているといえます。
「パパ活」「ママ活」などカジュアルな言い方も出てきていますが、一定の行為は処罰対象になることを覚えておいてほしいです。
念のためつけくわえると、「お金を払わないと警視庁に告訴する」なんて言ってはいけません。それは「恐喝罪」にあたるでしょう。
あなたが未成年者であるとしても、これが発覚したら家庭裁判所の少年審判にかかるかもしれません、ご注意を。
●「愛人契約」という言葉自体は、世の中に浸透しているが、公序良俗違反として契約は無効となる。
●「愛人契約」が金銭を介した性交だとしても、特定の相手とだけの関係であれば、売春にあたらない可能性が高い。
●「パパ活」「ママ活」が、処罰の対象となるケースも。
●「愛人契約」の未納金の取り立ては「恐喝罪」に問われる可能性がある。
三輪 記子
弁護士(第一東京弁護士会)
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