新型コロナの感染拡大によって薬剤師業界がこれまでにない危機に直面している。新型コロナの感染不安から、医療機関の受診を控えるケースが急増していて、薬剤師の人員配置の見直しや雇用形態の変更、雇い止めなどが発生しているのだ。コロナ禍に直面する薬剤師だが、どのような人が目指しているのか。薬剤師国家試験の大学別合格者ランキングをジャーナリストの伊波達也氏が解説する。

今後期待される大阪医科薬科大学の合併組と新設組

合併と言えば、今後注目すべきなのが、大阪薬科大学だ。2016年に、大阪医科大学と法人合併し、そして2021年4月より、正式に大阪医科薬科大学としてスタートした。現在、偏差値は59で30位だが、今後、難易度は高くなるはずだ。今回のランキングでは、総合格率85.32%で12位。新卒者合格率は93.17%で14位という結果だった。国家試験においても今後、医科とのコラボレーションにより合格率アップが期待できるだろう。

 

2021年4月には、和歌山県立医科大学にも、公立大学5校目の薬学部が新設された。公立大学4校目となった山陽小野田市立東京理科大学薬学部は、すでに2018年に開設されたため、2024年以降、国家試験参加に名乗りを上げる。同じく2021年4月には、湘南医療大学にも薬学部医療薬学科が新設された。

 

さらに、合併ではないが、2016年に医学部が創設された東北医科薬科大学、さらに2017年に医学部を開設した国際医療福祉大学の2大学も今後が注目される。

 

現在、東北医科薬科大学の偏差値は53で44位で、今回のランキングは、総合格率69.10%で43位。新卒者合格率は79.51%で58位だ。一方の国際医療福祉大学は、偏差値56で36位、国家試験ランキングは、総合格率84.04%で18位。新卒者合格率は98.60%で4位という好成績を収めている。

 

そして、2022年4月には、兵庫医科大学と兵庫医療大学の統合も予定されている。

 

現在、兵庫医療大学の偏差値は51で65位、国家試験ランキングは、総合格率58.96%で56位。新卒者合格率は83.00%で49位という結果だったが、今後、難易度の上昇とともに、合格率アップが期待できるかもしれない。

 

このように、各大学での合併、新設、新規大学の参入などが、今後も続く可能性は高い。

 

しかし、一方で、6年制導入以降に増えた新設薬学部のなかには、入学者の定員割れを起こし、国家試験での成績が低迷し続けている大学もある。今後、各大学は生き残りをかけて、さまざまな施策をおこなってくるであろうし、おこなう必要があるだろう。そこに乗り遅れた大学は、存続の危機に瀕するのは明らかなのではないだろうか。

 

薬学部には、薬剤師を目指して勉強する6年制と同時に、薬剤師国家試験受験資格のない4年制も存在する。国立大学などでは4年制で研鑽を積み、大学院で修士、博士を修得し、その後、研究職や創薬企業への就職という進路の流れがあるが、この分野での希望者はさらに増えるかもしれない。

 

現在のパンデミック時代、そして、超高齢化社会における、がん、脳血管疾患、心臓病、認知症、生活習慣病全般をはじめとする疾患に対する創薬も重要となる。

 

一方、薬剤師国家試験で合格を勝ち取り、薬剤師として医療現場で働く人々の活躍もますます重要視されるだろう。

 

いずれにせよ、医師、歯科医師、その他のコメディカルスタッフとの協力による医療従事において薬剤師が重要な役割を果たすことは確かだろう。合格者の皆さんのご活躍に期待したい。

※偏差値は、「大学薬学部ナビ」(https://www.ycpa.jp/hensa.html)を参考。

 

伊波達也
編集者・ライター

 

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