米バイデン政権は、3月に成立した1.9兆ドル規模の追加経済対策に続く大規模な経済プログラム(米雇用計画)を公表しました。新型コロナウイルスによる経済的な困窮を給付金などで直接支援した前回から、今回の計画は長期的な成長戦略へシフトさせた内容です。ただ、比較的スムーズに議会を通過した追加経済対策と異なり、議会審議は長期戦となる可能性も考えられます。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

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バイデン経済対策:2兆ドル超の米雇用計画(American Jobs Plan)の概略を公表

バイデン大統領は2021年3月31日ペンシルベニア州ピッツバーグの演説で、2兆ドル超(約220兆円超)のインフラ計画を打ち出しました(図表1参照)。

 

※概算額は米国雇用計画の配分のおおよその目安、幅を持つ必要がある 出所:ホワイトハウスファクトシートを参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]米国雇用計画の主な項目と内容(概算額は億ドル) ※概算額は米国雇用計画の配分のおおよその目安、幅を持つ必要がある
出所:ホワイトハウスファクトシートを参考にピクテ投信投資顧問作成

 

バイデン大統領は財源について、トランプ時代の減税で生まれた不公平を解消して、企業により公正な税負担を求め、連邦法人税率を21%から28%に上げるほか、多国籍企業の海外収益への課税も強化する意向を表明しました。

どこに注目すべきか:米雇用計画、インフラ投資、EV、法人税増税

米バイデン政権は、3月に成立した1.9兆ドル規模の追加経済対策に続く大規模な経済プログラム(米雇用計画)を公表しました。新型コロナウイルスによる経済的な困窮を給付金などで直接支援した前回から、今回の計画は長期的な成長戦略へシフトさせた内容です(図表1参照)。ただ、比較的スムーズに議会を通過した追加経済対策と異なり、議会審議は長期戦となる可能性も考えられます。

 

米雇用計画を簡単に振り返ると、主に4つの項目で構成されています。特色として環境やデジタル化を意識した長期的な成長を志向しています。例えば電気自動車(EV)の充電施設は2030年までに50万台の設置を目標としています。また、高速ブロードバンドへの配分も盛り込んでいます。

 

次に生活の質では飲料水の質を向上させるなど米国の生活インフラの改善を通じて中低所得者層の生活を支援する内容です。バイデン大統領もトップダウンではなくボトムアップで生活を改善させる考えを示しています。

 

製造業への支援も充実させています。バイデン大統領は非国防の研究開発としては過去最大の研究開発(R&D)予算を計上しています。先端技術の分野などで中国への対抗意識が強いように思われます。

 

なお、米国のインフラ投資については以前からその必要性は指摘されています。例えば米国土木学会は先月、4年に1度公表するインフラ投資に関連する報告書で、陸上交通から学校などに2029年までで約2.6兆の資金調達が必要と指摘しています。土木関連からの報告なので、額は割り引く必要があるかもしれませんが、米国のインフラ投資の必要性を海外旅行で実感された方も多いと思います(図表2参照)。

 

出所:米国土木学会(ASCE)のデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]米国土木学会(ASCE)によるインフラ投資要調達額 出所:米国土木学会(ASCE)のデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

もっとも、すんなりインフラ投資が拡大しないのは財源がネックとなっています。トランプ時代にインフラ投資が拡大しなかったのも同様の理由と見られ、バイデン大統領も財源の問題に直面することが想定されます。

 

米雇用計画では増税について言及がありました。トランプ時代の法人税減税で不公平な税負担が生じたことを例にとり、法人税を21%から28%に引き上げることを提案しています。企業の海外収入への課税負担や化石燃料産業のための税制優遇措置全廃などを提案しています。バイデン大統領は歳入をこれらの増税でカバーする見通しと述べていますが、増税については既に反対の声も聞かれます。

 

ただ、バイデン大統領は経済対策を2段階に分け、4月に追加の政策を公表する予定です。経済政策全体の評価は次の発表を待つ必要があります。ただ、これまでのところ、方向性は正しくも更なる追加となると荷が重くなるかもしれません。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『姿を見せたバイデンインフラ投資政策』を参照)。

 

(2021年4月1日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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