療養の「方針決定」において重要なことは?
ここでは療養の「方針の決定」について考えてみたいと思います。
本人が意思表示できる場合は、まだわかりやすいのですが、問題となるのは認知症などで本人が意思表示できない場合です。このような場合は家族と相談せざるを得ないわけですが、ここに一つの落とし穴があります。家族の都合を優先してしまう場合が往々にしてあるのです。家族の意見を鵜呑みにしてしまうと、本人の意思とはかけ離れた方針となってしまうことがあります。
また、家族の満足のためだけの方針になってしまう場合もあります。診療や介護にかかわる人々がこのような家族の都合に流されてしまうと、本人は完全に置き去りにされてしまいます。
ここでは「本人は何を望んでいるか」を優先するべきでしょう。一〇〇パーセントその意思を知ることは不可能ですが、でき得るかぎりの努力をして、でき得るかぎりに想像力を使って、それを探る必要があります。
Aさんのような人に経口摂取を許可することは、当然リスクを伴うものであり、さまざまな意見があるかと思います。
発生し得るリスクを家族にわかりやすく提示し、十分に理解していただき(これは主治医の最低限の務めです)、そのうえで本人や家族の希望に沿うように相談した結果、今回の方針となりました。ただ、どのような方針になるにしろ、本人や家族との強い信頼関係がその根底にあることを忘れてはならないと思います。
そのためには、お互いのコミュニケーションを十分に取り、お互いの話が「腹を割って」「遠慮なく」「いつでも」できるよう、心がけることも必要になります。
*****************************
矢野 博文
1957年7月徳島市生まれ。1982年川崎医科大学を卒業。以後病院で麻酔科医として勤務。2005年3月よりたんぽぽクリニックで在宅医療に取り組む。
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】