2021年も4月を迎え、まさに入学シーズン。一方で受験生にとっては正念場の1年がスタートしました。「子どもの教育は任せているから」という親でも、色々と気がかりな1年になりそうです。ところで子どもが志望校に合格したら、いくら必要か、把握しているでしょうか。文部科学省の公表データなどから紐解いていきます。

父親の給料だけで、子ども「大学で修学」は可能か?

厚生労働省『人口動態』から、第1子誕生の平均年齢から考えると、大学進学を見据える子どもがいる親は40代が多数。この40代、子どもの教育費以外にも大きな出費を抱えています。

 

国土交通省『平成30年住宅・土地統計調査』によると、世帯主が30代後半の場合、持ち家率は43.8%ですが、40代前半には過半数を超え、40代後半には60.1%に達します。40代で多くの人がマイホーム購入に舵を切るわけです。

 

さらに国土交通省『令和元年度住宅市場動向調査』によると、新築の一戸建てを建てた場合、3000万円以上を借入れ、30年以上に渡って返済していきます。また新築マンションの場合であれば、借入れは3000万円を下回るものの、返済期間は同じく30年以上。仮に40歳で住宅購入に踏み切ったとすれば、年金だけが頼り、という年齢までローンに追われることになります。

 

■新築注文住宅
世帯平均年収 744万円
世帯主平均年齢 43.2歳
購入資金(住宅+土地) 4615万円(うちローン 3361万円)
住宅建築資金返済期間 32.1年
土地購入資金返済期間 33.8年

■新築分譲住宅(一戸建て)
世帯平均年収 688万円
世帯主平均年齢 36.8歳
購入資金 3851万円(うちローン 2830万円)
平均返済期間 32.7年

■新築分譲住宅(マンション)
世帯平均年収 798万円
世帯主平均年齢 43.3歳
購入資金 4457万円(うちローン2702万円)
平均返済期間 31.5年

 

厚生労働省『令和元年賃金構造基本統計調査』によると、大卒男性の賃金は40~44歳で月額42万9500円、45~49歳で月額47万5800円。諸手当や賞与をプラスした年収は、40~44歳で544万3700円、45~49歳で578万400円になります。

 

パートナーが働いていない場合もあれば、正社員で働いていたり、パートに出ていたり、世帯によって状況はさまざま。ただ世帯主の収入だけで、家のローンを払い、さらに子どもの大学進学費用までまかなうのは、かなり苦しいことだと見えてきました。

 

――すまん、父さんの給料だけでは東京の大学に行かせることはできない

 

そのような事実が判明しても、気を落とす必要はありません。日本学生支援機構の『平成30年度 学生生活調査』によれば、「家庭からの給付のみで修学可能」という学生は、国立大学で54.1%、公立大学で51.7%、私立大学で51.5%。学生のおよそ半数は、「家庭からの給付のみでは修学は難しい」として、奨学金を受給したり、アルバイトをしながら大学に通っています。

 

もし「東京の私立大学に行きたい」と子どもに言われたら、堂々と、奨学金や子どものアルバイト代が頼りであることを伝えればいいのです。

 

 

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