日本は世界でも有数の経済大国ですが、この数十年、ジリ貧の状況が続いています。世界経済が成長するなか、なぜ日本だけが停滞しているのか。公益財団法人お金をまわそう基金の代表理事、澤上篤人氏が解説します。

なぜ欧米は経済成熟の低成長から抜け出せたのか?

ちょっと待ってくれ。そういうことなら、成熟経済で先輩にあたるヨーロッパや米国は、日本以上に低成長に悩んでいるはず。なのに、この30年間で経済規模が3倍ほどに大きくなっているではないか。それは、どういうことか?

 

実は、ヨーロッパも米国も70年代から80年代にかけて、経済成熟化の低成長にずっと苦しんだ。その苦しみの中から学んだのが、いかにお金をまわすかということだ。経済活動なんて、お金がグルグルまわればいくらでも活発化する。人々がお金をつかわず抱え込んでしまうと、経済は動かないし成長もしない。

 

そこで欧米諸国が活路を見出したのが、市場経済化の道である。市場機能を高めて、お金の回転を促進させれば、経済活動も活発化するだろうということだ。

 

たしかに、市場経済化の促進は大きな成果を挙げた。ただ、その行き過ぎがマネー至上主義となって、経済にさまざまな弊害をもたらしている。それが、欧米の昨今の悩みである。

 

もうひとつ見つけ出したのが、広い意味での寄付がもたらす所得再分配の経済効果である。生活に余裕のある人々が幅広く寄付をする。それが、多くの人々の収入となり、ひいては消費につながっていく。その経済効果の大きさに欧米は気付いたのだ。

 

ちなみに、米国では80年代からNPO活動がどんどん活発化していった。そのNPO活動がいまや米国の雇用の9%前後を創出しているといわれる。活動資金の大半は寄付によるNPO活動が、いまや米国で最大の産業となっているのだ。

 

たかが寄付というなかれ。人々の収入増加に寄与し、それがまわりまわって個人消費や成長率を高める。ひいては、国民全体の所得増につながっていくのだ。

 

お金をつかわず預貯金に寝かせたままにしていて、年0.001%の金利では財産づくりにならないと嘆いているのが、日本人の大半である。預貯金に眠らせている個人マネーの1%が寄付にまわるだけで、日本経済は即座に1.7%成長する。アベノミクスなど、国があれこれやっても達成できなかった1.7%成長が、いとも簡単に実現できるのだ。たった1%の寄付でもって(関連記事:『30年で総預貯金額560兆円増…お金をつかわない日本の末路』)。

 

それでも、イメージできないというのなら、預貯金の3%を寄付にまわそうか。さすれば5.1%の成長だ。日本経済が5%も成長すれば、まわりまわって国民の所得も増えると実感できよう。

日本中で寄付の文化を高めていくことで、どれほどすごいことになるか。そのあたりを、みなでどんどん発信しようではないか。

 

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