株高となる要素が揃っているにもかかわらず軟調
長期金利を睨みながら、依然不安定な値動き
■米国景気は、行動規制措置の緩和やワクチン接種の普及、追加経済対策の成立などを受け、今後上振れる可能性が高まっています。米国株式市場は、景気・業績の上振れ期待といった株高となる要素が揃っているにもかかわらず軟調な展開が続いています。これは、2月以降の10年国債利回りの急ピッチな上昇とさらなる先高懸念が背景と言えそうです。
成長とインフレの狭間での変動
創造的破壊から正常サイクルへの回帰
■続く4-6月は、景気の加速が予想され、また、物価も昨年の反動などから上振れる可能性が高いと思われます。但し、長期金利は、既に将来の物価上昇率をかなり織り込み、利上げについても来年1回、再来年3回と既に4回分も織り込んでいると思われます。長期金利はその成長と物価の上振れを実際に確認した後は、上昇ペースは緩やかになると見込まれます。
■景気はコロナの影響による「創造的破壊」から、正常サイクルへ回帰する途上にあります。株式市場は、しばらくは成長期待とインフレ懸念の狭間で、金利上昇バイアスに一喜一憂する展開が続きそうです。
次第に安定を取り戻そう
■米国の実質長期金利と予想株価収益率(PER)の関係性を見ると、実質長期金利が▲0.5%よりマイナス幅が小さくなり、ゼロに近づくと予想PERが20倍を割る傾向があります。足元の10年国債利回りは1.6~1.7%、実質長期金利が▲0.7%程度ですので、10年国債利回りが2%を大きく上回らなければ、バリュエーションを維持することは可能と考えられます。利益成長予想が加速し、実質長期金利の上昇が一定の範囲に止まれば、米国株式市場は、次第に安定を取り戻すと期待されます
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『創造的破壊から正常サイクルへの回帰』を参照)。
(2021年3月26日)
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