オーストラリアとニュージーランド(ANZ)のM&A事業者の多くは、自社や業界全体のM&Aプロセスにおけるデジタル化の成熟度、テクノロジーの洗練度や高度化を「中レベル」と評価していますが、「実務はすでに高レベル」との回答の割合はアジア太平洋地域(APAC)に比較して低いという、特徴的な調査結果が出ました。ANZの自社内のデジタル化を阻むものは何か、分析します。※本記事は、Datasite日本責任者・清水洋一郎氏の書き下ろしです。

「5年後も、成熟度や洗練度・高度化は中レベル」

オーストラリアおよびニュージーランド(以下、ANZ)でM&A事業者の大部分は現在、自社や業界全体のM&Aプロセスにおけるデジタル化の成熟度やテクノロジーの洗練度・高度化を中レベルと評価しています。注目すべきなのは、実務がすでに高いレベルにあると答えた人の割合がアジア太平洋地域(APAC)よりも低い点です。

 

特に興味深い点は、5年後においても、ANZの多くの事業者(73%)は自社の成熟度や洗練度・高度化が中レベルのままであると予想しているのに対し、ANZ以外のほとんどの地域では、ほとんどの事業者が高レベルに達することができると考えていました。

 

ではANZにおいて、自社内でデジタル化を阻んでいるものは何なのでしょうか?

 

ANZの多くのM&A事業者は、既存のシステムやセキュリティおよびプライバシー対策への懸念と新たなテクノロジーと統合する際に、最適な人材・専門家がアクセスできるかどうかが、M&Aプロセス関連のデジタルテクノロジー採用における主な課題である述べています。

 

Datasiteの「New State of M&A report - Australia & New Zealand」において、弊社はANZを拠点とする100人以上の事業者を調査し、以下のような質問をしました。

 

●近年のあらゆる進展において、 オーストラリアおよびニュージーランドのM&Aやデューデリ、資産マーケティングプロセスのデジタル成熟度やテクノロジーの高度化はどの程度なのか?

 

●M&Aプロセスは現在どのような状態なのか? テクノロジーや加速するデジタル化が、今後数年で取引決定プロセスをどう変えていくと思うか?

 

このレポートでは、オーストラリア有数の会社法事務所であるGilbert + Tobinと、ニュージーランドで最も経験豊富なPE(プライベート・エクイティ)企業であるPencarrowの事例も特に取り上げられています。

 

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