「広い=良い&需要がある」とはならない不動産市場
特に地方の郊外部に建つ親の家が一戸建ての場合、土地が60坪以上、建物の総床面積が200㎡前後、間取は5LDK以上といった広いものが、多数あります。
東京都に暮らす松木玲子さん(仮名53歳)の親の家は佐賀県にあります。この家の間取りはなんと7DK。2つの家をつなげてリフォームした築40年のものです。この家に現在ひとりでお住まいのお母さまが、来年早々に高齢者向けの集合住宅に転居することになり、この機に売りに出すことにしたのです。
当初は、これだけ広い家なので、二世帯同居の方に買ってもらえればいい、と楽観的に思っていたところ、いざ、売り出そうと不動産会社に下見してもらったらカウンターパンチを食らってしまいました。このご時世、こんな広い家を欲しがる人はそうはいませんよ、とのことでした。
なぜ、広い家は敬遠されるのでしょうか。
「小世帯化」で広い家を希望する人が減少
日本ではどんどん小世帯化が進行しています。平均世帯人数は平成27年2・5人を下回っています。かつて標準世帯といわれた、夫婦と子ども2人の4人家族世帯は減少し、単身世帯が一番多くなってしまいました。単身世帯は約33%、夫婦と子世帯約26%、夫婦のみ世帯約20%です。さらに20年後は単身世帯が40%に増える半面、夫婦と子世帯は20・8%と減っていく予想です(国土交通省国土審議会政策部会における試算)。
1世帯当たりの家族数が減れば、必要な部屋数も減ってきます。単身世帯であれば1LDK、夫婦2人なら2LDK、家族なら3LDKが一般的に求められる間取りです。
広い親の家と、買いたい人、借りたい人の間にはミスマッチ現象が起きているのです。
ここまで立地やマンション、一戸建てといった建物の形状、古さや広さなどさまざまな角度から親の家の価値を点検してきました。
いかがでしょう。あなたの親の家が価値の高いものなのか、お荷物なのか。どんな有効活用の方向性があるのかが、だいぶ見えてきたのではありませんか。売りやすい、売りにくい、貸しやすい、貸しにくいなど、具体的なイメージができ始めたところで、実際に自分の親の家が住宅市場においてどの程度の実力をもつのかを見ていきましょう。
具体的には、まず住宅不動産サイトで、地元の住宅の取引状況を確認しつつ、親の家の実力を測ります。まずは、親の家が一戸建てで、それを「売る」としたら、という視点で実力評価を試みていきましょう。