グロース株とバリュー株「スタイル・ローテーション」よりも「スタイル分散」

3月16-17日開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)では経済予測が上方修正された一方、政策金利については2023年末まで据え置きとする方針が示された。世界株式市場では、FOMC前後でグロース株指数とバリュー株指数のパフォーマンスが日替わりで大きく変動しており、不安定な相場展開が続いている。はたしてグロース株とバリュー株、どちらに投資すべきか?

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10年以上にわたって続いたグロース株相場

MSCI世界バリュー株指数と同グロース株指数のパフォーマンスを1974年12月末からの長期で計測すると、バリュー株のほうがパフォーマンスが高いことが分かる(図表1)。

 

1974年12月末=100、月次、配当込み、米ドル建て 期間:1974年12月末~2021年2月末 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]MSCI世界バリュー株指数とグロース株指数の推移 1974年12月末=100、月次、配当込み、米ドル建て
期間:1974年12月末~2021年2月末
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

しかし、この2つの指数の相対パフォーマンス(グロース株÷バリュー株)でみると、2006年12月末をボトム(底)に、近年では米10年国債利回りの急低下を受けて、グロース株のパフォーマンスが追い上げる状況が続いていた(図表2)。

 

1974年12月末=100、月次、配当込み、米ドル建て 期間:1974年12月末~2021年2月末 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]MSCI世界バリュー株指数とグロース株指数の相対パフォーマンスと米10年国債利回りの推移 1974年12月末=100、月次、配当込み、米ドル建て
期間:1974年12月末~2021年2月末
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

この状況に変化が表れたのが2020年8月末以降だ。米10年国債利回りが「経済の正常化」や「追加景気対策」への期待感を背景に上昇に転じたことをきっかけに、足元ではバリュー株優位の展開へシフトしている(図表3)。

 

2020年8月末=100、日次、配当込み、米ドル建て 期間:2020年8月末~2021年3月19日 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表3]MSCI世界バリュー株指数とグロース株指数の相対パフォーマンスと米10年国債利回りの推移 2020年8月末=100、日次、配当込み、米ドル建て
期間:2020年8月末~2021年3月19日
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

2021年3月のFOMCの結果を受けて、グロース株/バリュー株の相対パフォーマンスが大きく変動したのも、その背景には米10年国債利回りの変動がある。

「スタイル・ローテーション」よりも「スタイル分散」のほうが重要

グロース株優位の相場展開が10年以上も経過したことを考えれば、投資家のポートフォリオがグロース株中心に構築されていたとしても不思議ではないだろう。そのような中、米10年国債利回りの上昇をきっかけにバリュー株優位の展開へ急速にシフトしたことで、「スタイル・ローテーション(投資家がグロース株からバリュー株などへ投資スタイルを変化させること)」が巻き起こり、相場への影響が大きくなったことが推測される。

 

だが、「足元の」米10年国債利回りと相対パフォーマンスの連動性は2006年12月末以降に生じた現象であり、1981年9月末から2006年12月末(ITバブル期除く)までは、むしろ米10年国債利回りの低下とバリュー株優位の展開が並存していた。

 

つまり、短期的には米10年国債利回りと相対パフォーマンスの連動性が強いように思えても、いつ「デカップリング(連動性の低下や逆転現象)」を引き起こすか分からない。二者択一の「スタイル・ローテーション」よりも、「スタイル分散(グロース株とバリュー株に分散投資」のほうが、長期投資においてはより重要だろう。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『グロース株とバリュー株「スタイル・ローテーション」よりも「スタイル分散」』を参照)。

 

(2021年3月22日)

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社 

運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系運用会社に入社後、14年間一貫して外国株式の運用・調査に携わる。主に先進国株式を対象としたアクティブ・ファンドの運用を担当し、北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードを受賞。アメリカ現地法人駐在時は中南米株式ファンドを担当し、新興国株式にも精通。ピクテ入社後は、ストラテジストとしてセミナーやメディアなどを通じて投資家への情報提供に努める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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