長時間の連続した睡眠をとれないことを不安に思う人は多いのですが、人間の心身は細切れの睡眠でもリフレッシュすることが可能です。むしろ、眠れないことを気にしすぎるほうが悪影響だといえます。スタンフォード大学医学部教授の西野精治氏が解説します。※本記事は、『眠れなくなるほど面白い睡眠の話』(日本文芸社)より抜粋・再編集したものです。
連続して眠れないことを、そこまで気にしなくていい
●まとまった睡眠時間がとれないとき…
不眠気味の人や高齢者など、夜中に目が覚めてしまい、連続して長い時間眠れないことがあります。たとえば、2時間眠って目が覚めて、そのあと4時間眠った場合、6時間睡眠と考えていいのでしょうか。
細切れの睡眠は、分割睡眠ともいいます。まとまった睡眠と比べたら、質のよい眠りとはいえません。ただし、うまく活用できれば、分割睡眠もきちんと疲労回復の助けになります。
分割して眠っても、深いノンレム睡眠があれば睡眠の重要な機能は果たされるので、リフレッシュでき、元気にすごせるからです。
交代勤務などで毎日同じ時間帯に眠ることができないような人たちにとっても、分割睡眠は自分の生活サイクルに合わせて調節できるので、とり入れやすいかもしれません。たとえば、黒柳徹子さんは分割睡眠を実践する著名人としても知られています。
かつては人もほかの哺乳動物と同じように、1日に何回も眠る「多相性睡眠」が基本でした。
農耕生活を行ない、居住地で「昼に活動して夜に眠る」生活が定着したことで、夜間6〜8時間連続して睡眠をとるようになったのです。ですから、連続して眠れないことを気にしすぎる必要はありません。分割睡眠でも、深い睡眠をとれていればよいのです。
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医師、医学博士
スタンフォード大学 医学部精神科 教授
スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所(SCNL)所長
日本睡眠学会専門医、米国睡眠学会誌、「SLEEP」編集委員
日本睡眠学会誌、「Biological Rhythm and Sleep」編集委員
1955年、大阪府出身。大阪医科大学卒業。1987年、大阪医科大学大学院4年在学中、スタンフォード大学精神科睡眠研究所に留学。突然眠りに落ちてしまう過眠症「ナルコレプシー」の原因究明に全力を注ぐ。2000年にはナルコレプシーの発生メカニズムを突き止めた。2005年にSCNLの所長に就任。2007年、日本人として初めてスタンフォード大学医学部教授となる。
睡眠・覚醒のメカニズムを、分子・遺伝子レベルから個体レベルまでの幅広い視野で研究している。
33万部のベストセラーになった著者の初作、『スタンフォード式 最高の睡眠』(サンマーク出版)は、10ヵ国語に訳され、世界中でも広く読まれている。2020年9月に文藝春秋より刊行された『スタンフォード式 お金と人材が集まる仕事術』。スタンフォード大学教授だからこそ発信できる希少情報が話題に。
コロナから3年、最新のデータを踏まえ、改めて睡眠を語る最新作『スタンフォードの眠れる教室』(幻冬舎)、2022年4月、好評発売中。
※西野教授の理論をもとに開発された枕も好評。「BRAIN SLEEP PILLOW」
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