人間にとって14時ごろは眠くなる時間帯であり、眠気に逆らうより眠ったほうがいいと考えられています。生産性向上を目的とした短時間の仮眠は「パワーナップ」と呼ばれ、世界的な企業も積極的にとり入れています。スタンフォード大学医学部教授の西野精治氏が解説します。※本記事は、『眠れなくなるほど面白い睡眠の話』(日本文芸社)より抜粋・再編集したものです。
14時ごろは眠くなる時間帯…いっそ「午睡」の習慣を
●昼間の眠気に勝つ秘訣
昼食をとってもとらなくても、14時ごろは眠くなる時間帯(アフタヌーンディップ)なので、眠気に逆らうよりも、そのまま眠ってしまったほうがよいともいわれます。
スペインのシエスタのように、昼寝の習慣が浸透している地域もあります。
生産性を上げることを目的とした短時間の仮眠は「パワーナップ」と呼ばれ、世界的な企業が積極的にとり入れています。
ある実験で、数日間連続して起きていても、12時間ごとに2時間の仮眠をとると、仮眠後のパフォーマンスが向上すると立証されています。ふだんの生活での2時間の仮眠は非現実的ですが、1日20分程度の仮眠でも、ある程度の効果が得られることがわかっています。
ただし、30分以上寝るのは避けましょう。眠りが深くなって睡眠慣性が出やすくなり、起きてからの集中力も低下してしまいます。また、子どもに顕著ですが、夕方以降に眠ると、夜に睡眠圧が上がらなくなり、夜遅くまで眠れなくなってしまう可能性もあります。それでも睡眠不足の大人は、できるだけ仮眠を心がけてください。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針2014」にも、「午後早い時刻に30分以内の短い昼寝をすること」が望ましいとあります。仮眠は20分程度がよいといえるでしょう。
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医師、医学博士
スタンフォード大学 医学部精神科 教授
スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所(SCNL)所長
日本睡眠学会専門医、米国睡眠学会誌、「SLEEP」編集委員
日本睡眠学会誌、「Biological Rhythm and Sleep」編集委員
1955年、大阪府出身。大阪医科大学卒業。1987年、大阪医科大学大学院4年在学中、スタンフォード大学精神科睡眠研究所に留学。突然眠りに落ちてしまう過眠症「ナルコレプシー」の原因究明に全力を注ぐ。2000年にはナルコレプシーの発生メカニズムを突き止めた。2005年にSCNLの所長に就任。2007年、日本人として初めてスタンフォード大学医学部教授となる。
睡眠・覚醒のメカニズムを、分子・遺伝子レベルから個体レベルまでの幅広い視野で研究している。
33万部のベストセラーになった著者の初作、『スタンフォード式 最高の睡眠』(サンマーク出版)は、10ヵ国語に訳され、世界中でも広く読まれている。2020年9月に文藝春秋より刊行された『スタンフォード式 お金と人材が集まる仕事術』。スタンフォード大学教授だからこそ発信できる希少情報が話題に。
コロナから3年、最新のデータを踏まえ、改めて睡眠を語る最新作『スタンフォードの眠れる教室』(幻冬舎)、2022年4月、好評発売中。
※西野教授の理論をもとに開発された枕も好評。「BRAIN SLEEP PILLOW」
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連載スタンフォード大学医学部教授直伝!すぐ試せる「良質な睡眠」をとる方法