新型コロナウイルスの蔓延により生活習慣を見直し、睡眠の重要性を再確認した人も多いでしょう。睡眠は免疫とも深い関わりがあることが判明しており、健康維持のためにもおろそかにしてはなりません。本記事は、スタンフォード大学医学部教授の西野精治氏が良質な睡眠を得る方法を解説します。※本記事は、『眠れなくなるほど面白い睡眠の話』(日本文芸社)より抜粋・再編集したものです。
なかなか寝つけない人は「芳香浴」を試してみよう
●リラックスする香りが眠りの準備を整える
芳香浴(ほうこうよく)とは、部屋を植物の香りで満たす、アロマの楽しみ方のひとつです。
古くから、植物は傷や病を癒(いや)すために利用されてきました。植物のもつ香りの力に注目し、療法として確立されたのが「アロマテラピー」です。アロマテラピーは、植物から抽出した香りの成分の精油(エッセンシャルオイル)を使って行ないます。
鼻から入った香りの情報は、感情や記憶に関係する脳の海馬(かいば)や扁桃体(へんとうたい)のほか、自律神経をつかさどる視床下部(ししょうかぶ)へと送られます。なかなか寝つけないとき、自律神経は交感神経が優位な状態にあります。アロマの香りを使って副交感神経が優位になるよう整えることで、心身ともにリラックスして眠りやすくするのです。
海馬は記憶にかかわる部位ですが、その香りと結びつくよい記憶が思い出されると、気持ちは自然と穏やかになります。また、好き・嫌いを判断する扁桃体に伝わり、「好きな香り」と判断されれば、心地よさを感じるようになります。
入眠のためには、心を落ちつかせる効果のある香りを選ぶことがポイントです。たとえば、ラベンダーの香りは、高いリラックス効果があると認められています。
眠る前には、鎮静効果のある柑橘(かんきつ)系の香りとブレンドすると、入眠効果がより高まるといわれています。
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医師、医学博士
スタンフォード大学 医学部精神科 教授
スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所(SCNL)所長
日本睡眠学会専門医、米国睡眠学会誌、「SLEEP」編集委員
日本睡眠学会誌、「Biological Rhythm and Sleep」編集委員
1955年、大阪府出身。大阪医科大学卒業。1987年、大阪医科大学大学院4年在学中、スタンフォード大学精神科睡眠研究所に留学。突然眠りに落ちてしまう過眠症「ナルコレプシー」の原因究明に全力を注ぐ。2000年にはナルコレプシーの発生メカニズムを突き止めた。2005年にSCNLの所長に就任。2007年、日本人として初めてスタンフォード大学医学部教授となる。
睡眠・覚醒のメカニズムを、分子・遺伝子レベルから個体レベルまでの幅広い視野で研究している。
33万部のベストセラーになった著者の初作、『スタンフォード式 最高の睡眠』(サンマーク出版)は、10ヵ国語に訳され、世界中でも広く読まれている。2020年9月に文藝春秋より刊行された『スタンフォード式 お金と人材が集まる仕事術』。スタンフォード大学教授だからこそ発信できる希少情報が話題に。
コロナから3年、最新のデータを踏まえ、改めて睡眠を語る最新作『スタンフォードの眠れる教室』(幻冬舎)、2022年4月、好評発売中。
※西野教授の理論をもとに開発された枕も好評。「BRAIN SLEEP PILLOW」
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連載スタンフォード大学医学部教授直伝!すぐ試せる「良質な睡眠」をとる方法