親の家の実力に見合った有効活用の方法を絞り込む
親の家が有効活用できる資源なのか、住宅市場においては売りたくても売れないお荷物と見なされるのかを、ざっくりと見極めることで、有効活用の方針が決まってきます。そのためには、住宅市場の中での親の家の実力を知ることから始めます。
実力を測るモノサシは「立地」「家の形態」です。連載の第2回で整理した基本仕様の中で、所在地、交通、土地面積、建物面積、間取り、築年月日、用途地域、建ぺい率、容積率などが該当します。
家の評価を決めるのは8割がたが立地つまり所在地、交通です。また「家の形態」も重要です。一戸建てよりマンションのほうが、古いより新しいほうが一般的にはより高く、より早く有効活用の道が開けます。
それでは、あなたの親の家が実際に資源となりうるのか、残念ながらお荷物にしかならないのかを、見ていきましょう。
価値の8割は立地、有効活用の可能性が高いのは大都市
地方と大都市では住宅価格や家賃の差はどのくらいあるか、ご存じですか。東京都と岡山県で、それぞれ都心、郊外の中古マンション、中古一戸建ての価格を比較してみましょう。
まず、大都市と地方都市の違いを見ていきましょう。中古マンションは港区で5733万円、岡山市中区では1180万円。港区は岡山市中区の約5倍の価格です。中古一戸建ては港区で1億2800万円、岡山市中区は2880万円。港区は岡山市中区の約4・4倍です。
大都市は地方都市に比べ価格が4~5倍も高いことがわかります。価格が高いということは、それだけ多くの人にとって利用価値が高いということです。
平成26年の各都道府県の土地価格相場の㎡単価を見ても、1位東京都80万1162円、2位神奈川県23万2004円、3位大阪府23万937円と大都市が上位を占めています。
北海道は3万7032円、東北・宮城県は7万832円、北陸・石川県は5万8215円、四国・愛媛県は6万270円、中国・岡山県は5万2437円、九州・福岡県は9万6482円ですから、大都市との差の大きいことがわかります。
人口減少や産業構造の変化により、地方産業等が衰退。若い世代が地方都市で職を得る機会が少なくなったため、東京一極集中の流れが顕著です。そのため、東京都の土地や住宅価格が突出して高くなっています。また、九州なら福岡、東北なら仙台というように地方圏においてもブロック化しています。このような流れはこの先も継続します。
次回は中心部と郊外について見ていきます。