今回は、実際の物件を例にあげながら、立地によって空き家の価値がどのように変化するかを見ていきます。※本連載は、「マンション評価ナビ」の企画・運営を手がける株式会社風の代表取締役、大久保恭子氏の著書、『どうする?親の家の空き家問題』(主婦の友社)の中から一部を抜粋し、空き家になった親の家への対処法を紹介します。

地方都市でも中心部のほうが郊外より有効活用しやすい

中古マンションは大都市の都心部港区で5733万円、郊外の東村山市で2345万円(平成27年5月の不動産サイトでの価格)となり、都心部が2倍以上高くなっています。地方都市でも、下記図表1のように、中心部は郊外より約1.4倍高くなっています。中古一戸建ても同様に中心部と郊外で大きな開きがあります。

 

[図表1]大都市と地方都市、都心と郊外の住宅価格比較

駅近物件とバス便の物件ではやはり大きな差が…

それでは駅近とバス便ではどのような違いがあるでしょうか。

 

西武新宿線「東村山」を最寄り駅とする新築一戸建てを例に見ていきましょう。本来ならば親の家の条件に近い中古住宅で比較したいところですが、同じ築年数のものでの比較が難しいので、ここでは新築で比較します。

 

徒歩5分の一戸建ては、バスを利用しなければならない徒歩22分と比べて、1200万円も高い価格がついています(下記図表2)。徒歩22分のほうが、土地面積、建物面積が広いにもかかわらずです。

 

[図表2]駅からの徒歩数で価格は大きく変わる(新築一戸建て)

 

賃貸の一戸建てについても見てみましょう。

 

徒歩9分の一戸建ては家賃が11.7万円。一方、駅から遠い徒歩22分の一戸建ての家賃は9.8万円です(下記図表3)。特に賃貸住宅は借り手が利便性を重視し、できるだけ駅から近い住宅を探す傾向にあります。

 

[図表3]駅からの徒歩分数で家賃は大きく変わる(賃貸一戸建て)

 

高い価格や家賃は利用価値が高く、多くの人が住みたがるということを立証しているわけです。立地の良しあしが親の家の価値を8割がた決めてしまうことになります。

 

さて、あなたの親の家の立地は、高い売り出し価格や家賃設定ができる位置づけにありそうですか?

 

立地についての大まかなイメージができたところで、次のモノサシ「建物の形状」に移りましょう。

本連載は、2015年8月31日刊行の書籍『どうする? 親の家の空き家問題』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

どうする? 親の家の空き家問題

どうする? 親の家の空き家問題

大久保 恭子

主婦の友社

空き家対策特別措置法施行により、親の家を空き家で放置することがますます大きな問題に! 今や親が残してくれた空き家は国民的問題。空き家の数は過去最高の820万戸。環境悪化や倒壊など、空き家の長期放置がもたらす外部不…

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