空き家の活用法は「家の全体像」をつかんでから検討
前回の続きです。「2.親の家の基本仕様を整理する」について見ていきます。
売る、貸すなど、親の家に適した有効活用方法を検討するには、親の家の全体像がわかる基本仕様が必要です。
●手元に集めたい資料
〈土地の測量図、境界確認書〉
まず、土地の測量図や境界確認書を探してみましょう。一戸建てや土地の場合に必要です。それをもとに、どこからどこまでが売ったり貸したりするときの対象になるのか、対象面積は何㎡か、といったデータを整理します。
〈建築確認済証および検査証、建築設計図書〉
これは建物の概要を整理するために必要な資料です。
建築確認済証および検査証はその家が建築基準法という法律に則って建てられたことを証明する書類です。違法建築ではないというお墨つきともいえるものです。建築設計図書や工事記録を見れば広さや間取りがわかります。たいていの場合、設計図には日付が記載されているので築年数もわかるでしょう。
リフォームをしていたら、同様にリフォーム箇所に関する設計図や工事記録も探しましょう。新たに交換したトイレ、洗面台、キッチンなど水回りを中心とした設備カタログがあれば、それも手元資料として持っておくと、売る、貸す際の有益な情報となります。
《親の家の全体像がわかる基本仕様の項目》
★購入時の土地価格
★建物の建築費
★固定資産税評価額と実際の固定資産税(あれば都市計画税も)
★所在地、交通
★土地面積、建物面積、間取り
★築年月日
★用途地域、建ぺい率、容積率
★駐車場の有無
★主要な開口部の向き
★借地料・地代(借地の場合)
★主な設備(例:床暖房、浴室乾燥機、食洗機)
★その他の特徴(例:総檜造り、耐震改修ずみ、○年に水回りリフォーム実施ずみ)
土地測量図や建築確認済証がなくても「何とかなる」!?
ところで、土地測量図や境界確認書、建築確認済証および検査証、建築設計図書などが、どこをどう探しても見当たらない! という方もいらっしゃるのでは。でも、何とかなるものです。ただし、手間と費用はかかりますが。
土地測量図、境界確認書については、隣の土地所有者の方々と協議し、了解を得て測量図を作成することになります。
建築確認済証を紛失した場合は、家が所在する最寄りの自治体で証明書を発行してくれます。ただし、昭和40〜50年代に建てられた古い家については、証明書の発行ができない場合もあります。
建築設計図書がない場合、室内の寸法を測り、だいたいの広さ、間取りをつかみます。こうした資料をもとに、上の項目を整理し、親の家の概要を把握しましょう。この段階で、売る、売らない、更地にするなど大まかな方向性がある程度見え始めます。
親の家の基本仕様がわかれば、住宅市場における実力がどの程度か、ということが客観的にわかってきます。これが、親の家の有効活用方法の方向性を決めるもととなるのです。
「売る」「貸す」「経営する」などの有効活用方法の方針を決意した段階で、不動産会社に依頼しますが、これらの面倒な手続きはすべて、その不動産会社の営業担当がとりしきってくれるので、ご安心ください。