まずは「親の家の概要」を把握するところから開始
親の家の概要を知って初めて、最も適切な有効活用の選択肢が絞り込まれたり、やるべ
きことが見えてきます。また、こうした作業を通して親の家に対する思いや愛着を感じ取ることができます。親がたどった人生を知る機会にもつながります。
私は実はこのことがとても大事だと考えます。誇りに思える家だからこそ、無駄に持っているのではなく、誰かの役に立てたい、と思う気持ちがわいてくる、と思うからです。
1.権利関係を明らかにする
親の家を相続し売却するなどの有効活用をするには、相続登記をしなければなりません。買い手がついても登記ができないのでは、契約ができません。そこで、まず家の権利関係を明らかにすることが必要です。また、権利関係はこの家の歴史を教えてくれます。
2.家の基本仕様を整理する
基本仕様は「土地・建物面積」「間取り」「築年数」などです。親の家の特徴を把握することで、より具体的にどのような有効活用ができるのかを、検討することができます。
3.お金関係について把握する
お金関係についても把握しておく必要があります。固定資産税や維持・管理費以外にも気がつかない費用がかかっていないでしょうか。親の家に現在、いくらかかっているのかを明らかにすることで、こんなにかかるのなら、早くに「売る」とか、この程度の額なら売らずに「保有する」といった大筋の方針が見えてくるでしょう。
それでは、「1.権利関係を明らかにする」ことから始めましょう。
名義変更されないままの不動産が相続を複雑に・・・
地方では、今でも土地の名義がずっと前に亡くなった祖父のまま、というケースがよく見られます。実は、筆者の実家もそうでした。父、母が相次いで亡くなったのちに、いざ実家を売却しようとして、登記情報を取り寄せたところ、名義は父のまま。
そこで、まず亡くなった母と、子である私と弟の3人が法定相続を前提に名義書き換えをしました。その際それ以外に被相続人がいないかを、戸籍を洗い出して確認するのです。
手続きには相当の時間を費やしました。さらに亡くなった母の相続分を子2人が法定相続し名義の書き換えをする、という面倒なことが発生したのです。この手続きが終了しなければ、売却はできません。
これらの手続きは司法書士にすべて任せることができますが、2カ月程度の時間と数万円の費用がかかりました。
ところで、親の家が平成17年以前に登記されていれば登記情報の確認には、権利証が必要ですし、もちろん売買で所有権が移転するときにも必要です。ところが、家中探しても見当たらない!と慌ててしまいそうですが、大丈夫です。
また、平成17年以降に登記されていれば、権利証の代わりに登記識別情報が必要ですが、それを失念していても、これまた大丈夫です。司法書士、土地家屋調査士、弁護士に本人確認情報の提供を依頼すれば、権利証の提出や登記識別情報の提供ができなくても、不動産の売却による所有権移転はできるのです。ただし、数万円の費用がかかります。
「2.家の基本仕様を整理する」については、次回に続きます。