ボストンコンサルティンググループは、ベトナムの富裕層増加率は10年後に世界一になると予想しており、年々増加する年収に、国民も豊かさを実感しています。今回は、将来に明るい展望を見出すベトナム国民のライフスタイルの変化と、不動産投資に関係する法整備などを見ていきます。

10年後は世界一という予想もある富裕層増加率

経済成長が続くベトナムでは、富裕層、中間層が増加しています。ベトナム統計総局による2012年の国民の平均月収は約93米ドルであり、あまりに少なく感じると思いますが、その理由は無収入の人も加えた国民の平均だからです。2002年の平均月収が17米ドル程度なので、実に5倍に増加していることになります。年々収入が劇的に増加していることが、豊かになる実感を与えています。

 

 

ボストンコンサルティンググループ(BCG)によると、月収700~1400米ドルを中間層、1400米ドル以上を富裕層と定義しています。その場合、中間層が全人口の11%、富裕層が3%になるというのが2012年の調査結果です。特に富裕層の増加率は、10年後世界一になると予想しています。これらの富裕層、中間層の増加が、その存在をターゲットにした商品、サービスの開発競争につながっていくでしょう。

 

ここでは2015年日本人駐在員向けに発行されている現地のフリーペーパーに紹介されている富裕層のライフスタイルを紹介しましょう。

 

歌手から実業家に転進したAさんの場合です。趣味は買い物と旅行、特に海外旅行はアメリカ、アジア、ヨーロッパに数多く出かけるようです。日本なら10日程度、ヨーロッパなら半月ほど滞在するようです。家族同伴なので、子供の遊び場やプール、レストランの充実が大切な条件になるようです。

 

「昔は食べるものと着るものがあれば満足していましたが、今では美味しくて、格好良くないと受け付けません」

 

と述べています。

 

また、アメリカ式マナー教育の学校を経営するBさんの趣味は、不動産売買です。

 

「私は農家の出身なので土地が好きです。お金は銀行には預けず、必要なときは不動産を売却します。そのための投資でもあります」

不動産の権利書「レッドブック/ピンクブック」とは?

ベトナム人は将来の経済成長に自信を持っており、老後のためにコツコツ貯めるという考えはなく、投資を積極的に行っている方が多いです。

 

ベトナム人の不動産取引が活発化するに伴い、不動産の使用権を保証する権利書の整備も進み始めているようです。

 

土地の所有権については、全人民の所有という名目の国有になっています。ただ現実には、不動産取引は不動産の使用権の売買が可能になります。土地のみの使用権証書のことを通称レッドブックと言います。通称名の通りその証書は、赤色の表紙になっているのが特徴です。

 

また、建物については所有権が認められています。その所有権の権利書については、通称ピンクブックと言われます。これも同様にピンクの表紙になっているのが特徴です。不動産取引の拡大により、そのような権利書も整備されるようになりました。

 

 

また、ベトナムの金融機関は、不動産取引を活発化する金融商品を開発するようになりました。日本のような長期の住宅ローンは存在しませんが、比較的短期のローンは存在します。購入する物件の評価額の7割を担保にして、最初の一定期間のみを固定金利として、その後変動金利に切り替わるタイプが主流です。ローンの期間は最長でも15年程度で、それを超えるものはほとんどありません。このようなローンの形式は、日本のような銀行系の保証会社や団体信用保険なども存在しないことが影響しています。

 

今後、経済成長とともにそのような機能を持った長期の住宅ローンが開発されると、自宅を所有したいベトナム人や不動産投資をしたいベトナム人が、より一層増えることでしょう。

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