80代で老人ホームに入所も…長男が困窮した「父の預金額」
年間約130万人が亡くなる日本社会。故人の遺産をめぐり、親族間で醜い争いになるケースが多発しています。相続が発生してから「家族と絶縁する羽目になった…」「税金をごっそり取られた…」と後悔してしまわないためにも、トラブル事例を見ていきましょう。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説していきます。
「家を守りたい」という思いを覆した長男は…
今回のケースの場合、生活拠点を移したり、2つの住居を維持するのは、現実的な選択肢ではありませんでした。庭には素晴らしい枝ぶりの植木が何本もありますが、プロによる剪定など今後の維持が負担になりますし、賃貸に出さない限り固定資産税は持ち出しです。また、家自体も築30年以上経過してすでに老朽化が進み、賃貸に出すにはかなりの修繕費がかかることが予想されました。
当初は父親の暮らした家を守りたいと思い、そのつもりで弟と遺産分割協議をした小野さんでしたが、事情を総合的に判断し、売却を提案した筆者の意見に納得され、方向転換を図ることになりました。結果的には無事に売却ができ、大変喜んでいただくことができました。
懐かしい家は動産へと姿を変え、維持管理が容易になっただけでなく、今後の選択肢も増えました。引き継いだ父親の資産をこれからも大切に守りつつ、活用していただけたらと思います。
※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。
曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
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株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書65冊累計58万部、TV・ラジオ出演127回、新聞・雑誌掲載810回、セミナー登壇578回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2021年版 (別冊ESSE) 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。