株式会社プレジデントワン代表取締役の松久久也氏は著書『ワークスタイル・ルネッサンスがはじまる』のなかで日本経済の諸問題について語っています。当記事では、まずはコンビニを例に挙げ、働けど働けど生活が苦しい日本人の実態について見ていきます。

稼いでも稼いでも生活が苦しくなる「三大要素」

■私たちが一生懸命働いても苦しかったのはどうしてか

 

日本人の一生にかかる3大必要資金というものがあります。教育、住宅、老後です。

 

一人の子どもを成人まで育てるのに、いろいろな統計がありますが、3千万円程かかります。二人いたら6千万円です。アメリカではもっと深刻で、大統領選の争点になっているほどです。「一人あたりのローン残高は3万ドル程度で、連邦政府の学生ローンは卒業後の金利が7%程度。90日以上延滞した比率は11%と、カードローンや自動車ローンを大きく上回る。利子が積もり、年数をかけても借金残高がなかなか減らない構図だ」。(出典:「米学生ローン あえぐ中高年 民主予備選焦点に 返せず破産・離婚相次ぐ」日経新聞 2020年2月13日)

 

次に住宅ローンです。これは日本人にとって最大のテーマです。新型コロナで、不動産市場に異変が起こっていますが、それでも都心のマンションの平均価格は5千万円をはるかに上回っています。

 

「4月の1戸あたり平均価格は6216万円」(出典:「4月の首都圏新築マンション発売戸数、過去最少に」日経新聞 2020年5月20日)。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

もし、都心でマンションを購入し、6000万円を借り入れ、借り入れ条件25年返済、0.625%の低金利で夢の住宅を手に入れたとします。入居後、毎月21万6082円(ボーナス時同額)を25年にわたって返済していかなければなりません。入居の翌月から地獄の日々がはじまります。賃貸住宅でも、生活が楽になることはありません。

 

子どもの教育費が最もかかる高校、大学の時期は、息が詰まります。これは特殊な光景ではなく、たとえ、金額がこれを下回ったとしても、状況はあまり変わりません。住宅ローンを完済し、子どもを独り立ちさせたとき、大きなストレスから解放されやっと人間らしさを取り戻します。

 

私たちは、家賃やローンのために生きていると感じている人がほんとうに多いのです。

 

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松久 久也 株式会社プレジデントワン代表取締役
1952年生まれ。名古屋大学経済学部卒業。銀行勤務を経て、コンサルティング会社設立。 旧日本興業銀行、日本長期信用銀行、住友信託銀行、第一勧業銀行、みずほ銀行などの大手銀行、東京海上あんしん生命保険、AFLACなどの大手生命保険、あいおい損害保険、日本IBMなどへのコンサルティングを行う。フィナンシャルプランニング日本導入における草創期に教育指導。日本商工会議所検定試験委員歴任、名古屋大学でキャリア形成論の講義を担当。 東京大学大学院牧野研究室との共同研究、ものづくりプロジェクトのプロジェクト統括マネージャー。 中小企業者の経営指導には定評。経営、金融、保険、シニア、IT、製品開発、経営戦略、統計、人材育成など分野は多岐にわたる。 海外はASEANとの交流促進活動に取り組む。著書に『数字に弱い人のための合理的意思決定入門』(PHP研究所)がある。

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『ワークスタイル・ルネッサンスがはじまる』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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