オンライン学習のメリットとデメリット
大切なのは、子どもの関心がどこにあるかを大人が理解すること
オンライン学習の成功を左右するのは、「学習の進度がどの程度によるか」だと思います。研究課題の方向性が明確であれば、どのような研究資源にアクセスすれば良いのかを決めることができるからです。
また、共通の問題点に対して学生あるいは研究者を集めて解決しようとする場合には、オンラインはより良い選択肢になる可能性があります。というのは、事前に多くの書面資料を交換しておくことで、自分たちの意見や観察角度をよりいっそう明確に表現できるからです。これは間違いなくオンラインの利点でしょう。
ただし、学習の早い段階で、明確な研究の方向性が見つかっていないのに、オンラインを用いると、相手の研究の意味を理解できない可能性があります。この場合には、ある程度のレベルに達するまで、自宅や地域の学習で、自分の興味のあるものや解決したい問題を見つけるのがいいでしょう。そうした基礎的な学習は、逆にオンラインの画面を通してはできない場合もあります。
また、実技や操作などを伴う学習については、オンラインは適しません。たとえば、「どんな肥料をやればよいか」「どういうふうに種をまけばよいか」を知ろうと思えば、ネットで農業理論の基礎を学べば済みます。おそらく、これはとても簡単に学ぶことができるでしょう。
しかし、実際に田んぼへ行ったり、家畜と一緒に過ごしたりする経験は、ネット上では十分に積むことができません。このように実技や操作という面については、今はまだネット上の技術のみでは不十分なのです。
ただ、討論したり、理論を学んだり、抽象的なものを学んだり、という知識の面では、むしろネットを通じたほうが実際に対面するよりも明確に学べるようになっていると思います。オンラインであれば、反復学習が可能ですし、自分のペースで学習することができます。さらに、そこで創作されたものは知育チャンネルなどを使って比較的容易に発信することも可能です。
最も重要なのは、「必ずこうしなければいけない、これを勉強しなければいけない」と考えず、特定の方向性を設定せずに学ぶこと、そして「いかに好奇心を持つか」ということです。好奇心が自分の中に湧き上がってきた時点で、先ほどお話したようなお互いに共通の価値を持った学習方法に移行すればよいのです。
ですから、すべては学習を行う本人次第です。もし自分の子どもに興味があること、あるいは解決してみたい問題があるかどうかと尋ね、子どもが熱心に「ある」と答えれば、オンラインを利用した学習方法を使えますし、まだ見つかっていないということであれば、別の学習方法を用いればいいでしょう。