軍用地広告には、販売価格ではなく「年間地料」が載る
ふた昔前くらいから、軍用地の物件情報をよく目にするのが、新聞の地元紙の不動産広告。実際の広告記事はこのような感じです。
「キャンプ瑞慶覧北前30万」は「キャンプ瑞慶覧北前地区の”年間地料”30万円」、「キンザー36万」は「キャンプ・キンザー(牧港補給地区)の”年間地料”36万円」、「普天間20万」は「普天間飛行場の”年間地料”20万円」という意味です。
「キャンプ瑞慶覧北前年間地料30万」という広告を見て、「おや? 一体、軍用地はいくらなんだ?」と思いませんか?
実は軍用地の販売広告の場合、販売価格は記載せずに、年間地料のみを載せるのが通例です。新聞広告の料金は行数で決まるので、不動産業者はなるべく短い表現の中に、最低限かつ必要十分な内容を詰め込もうとします。その結果、こういった表現になっているのです。
販売価格は、一般の土地のように面積に対して坪単価を掛けた金額ではなく、年間の地料に基地ごとの「倍率」を掛けた金額になります。この「倍率」についてはこの後で詳しく説明しますが、一言でいうと競争率です。
購入したい人が多ければ多いほど、倍率は高くなります。たとえば、キャンプ瑞慶覧(北谷町北前)の場合、相場の倍率は48〜50倍くらいなので、年間の地料30万円の軍用地なら販売価格は〈30万円×48倍=販売価格1440万円~〉となります。
こんな簡単な広告で決めてしまって大丈夫なのかと心配になるかもしれません。実際に土地を確認せずに、広告だけを見て速攻で買い付けを出していいものなのか、と。都内在住の男性は5年前に軍用地を購入する際、「最初は詐欺なんじゃないかと疑った」ということでした。
でも、心配はご無用です。実際のところ、土地を自分の目で確認しようとしても、高いフェンスで囲まれた米軍基地に立ち入ることはできません。たとえ、基地に立ち入ることができたとしても、広大な土地は何万筆にも複雑に分かれているので、どれがどの土地なのか誰にも分からないのです。
とはいえ、軍用地投資家も土地勘のない土地をろくに調べもせず、やみくもに購入しているわけではありません。軍用地をどのように特定するのか、その方法はきちんとあります。まずは広告を見て一目で理解できるように、一つひとつポイントを押さえていきましょう。
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