日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は、「共働きと片働きの公的年金受取額」に焦点をあてていきます。

共働きか、片働きか…公的年金受取額は?

結婚し、この先、共に生きると決めた時、1人分の収入で家計を支えていくことはできるのか……そんな目先の心配はもちろんですが、もうひとつ心配なのが老後の暮らし。共働きと片働き、年金の受取額はどうなるのだろう、という疑問もよぎるのではないでしょうか。

 

厚生労働省『令和3年度の年金額改定についてお知らせします』によると、令和3年度、国民年金(老齢基礎年金(満額))は、1人月額6万5075円、厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は22万496円です。

 

さらにシミュレーションしてみましょう。たとえば、31歳男性と29歳の女性が結婚し、共働きか片働きで、公的年金の受取額にどれほどの差が生じるのでしょうか。

 

まず共働きの場合。平均的な年収を手にし続け、60歳で定年を迎えたとすると、男性に受給される「老齢基礎年金」は月額6.4万円、「老齢厚生年金」は月額9.2万円、女性に受給される「老齢基礎年金」は月額6.4万円、「老齢厚生年金」は月額7.7万円。夫婦で29.7万円の年金を手にすることなります。

 

次に、結婚を機に女性が退職、片働きとなった場合を考えていきまう。男性は平均的な年収を手にし続け、60歳で定年を迎えたとします。男性に受給される「老齢基礎年金」は月額6.4万円、「老齢厚生年金」は月額9.2万円、女性に受給される「老齢基礎年金」は月額6.4万円、「老齢厚生年金」は月額0.9万円。夫婦で22.9万円の年金を手にすることなります。

 

あくまでも簡易的なシミュレーションによるもので参考値になりますが、共働き夫婦と片働き夫婦の年金受取額には、月に7万円、1年で84万円ほどの差が生じる計算になります。仮に定年後の生活が20年続いたとしましょう。受取額には1680万円もの差が生じることになるのです。

 

金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査』によると、世帯主が60代世帯の中で、運用目的で預貯金を保有している 「金融資産保有世帯」は81.7%。5世帯に4世帯は資産運用を継続しています。

 

さらに金融資産保有世帯に限ると、世帯主60歳代世帯の金融資産保有額は平均2154万円、中央値は1465万円。金融商品のうち、もっとも多いのが「預貯金」で1184万円です。一方、金融資産を持たない世帯に限ると、世帯主60代世帯の預貯金残高合計は平均331万円。単純に預貯金の差は853万円となります。

 

定年し公的年金頼りの生活になるまで、どのように資産運用をし、貯蓄ができるのか。そこに共働きか、片働きかの議論はあまり関係ないでしょう。どうするかは、夫婦の将来設計次第です。ただ、年金の受取額に大きな格差が生じるのは事実。夫婦の老後までを見据えて、ベストな選択をしたいものです。

 

 

2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録