高齢化、少子化、貧困、教育……日本にはさまざまな社会問題が山積しています。その解決法として注目されているのが「寄付」「遺贈寄付」であり、その文化を広めることが課題となっています。一方で寄付大国と称されるアメリカ。そこにどのような違いがあるのでしょうか。公益財団法人 お金をまわそう基金の代表理事、澤上篤人氏が解説します。

米国…全雇用の9%はNPO活動

そういった米国での寄付文化だが、とてつもなく大きな存在となってきているのも事実。たとえば、米国のNPO活動は全雇用の9%前後を生み出しているといわれる。活動資金の大半は、一般市民からの寄付によるものである。

 

NPO活動といってもピンキリだが、米国でとびきりすごいNPO活動ともなると、国や州政府ができない公益事業を次々とこなしていっている。「こうなったら、いいのに」といった地域住民の共通の願いを、ピンのNPOは地域住民からの寄付でもって実現させてしまうのだ。

 

みんなでお金を出し合って、皆が欲する社会インフラを整えよう。国や州政府がやるとなると、どうしても政治やら多方面からの利害関係とやらが絡んでくる。それに対し、地域住民の話し合いと同意をベースに、自分たちの資金でもって公益事業をやってしまえたら、ことは簡単である。

 

このように、米国や欧州それに日本といった成熟経済の国では、人々が自分たちの資金をどう積極活用させるかが問われる。そういった社会認識の高まりが重要となってくる。その時の大きな柱となるのが、寄付というお金の流れである。

 

とりわけ、最近は社会的な格差が拡大している。それは米国のみならず、ヨーロッパや日本でもじわじわと社会的な問題となってきている。

 

それに対し、マネー資本主義の行き過ぎであるとか、株主の利益を第一とする経済システムの限界とか、その他いろいろいわれる。そういった問題を根本から解消していくべく、人類の英知を傾けたいところである。

 

その上での話だが、寄付という文化がもつ富の再分配機能が自然と働いてもらいたいものだ。そこには、経済の仕組みを抜本的に変えるとか、税制などによって強制的に富の再分配を進めるのとは違った価値がある。

 

そうなのだ、人間のもつやさしさでもある、「思いやり」とか「いたわり」の気持ちが発露しての、ごく自然体で進む富の再分配である。これは寄付という文化が、そもそも内在している精神である。それこそ、「寄付する人はする」の根っこの精神でもある。

 

 

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