相続財産に「不動産」が含まれる場合、親族間のトラブルを招きやすくなります。そして、問題を曖昧のまま放置すると、孫の代まで絡んで収拾がつかなくなるケースもあります。今回は、土地と建物の名義が異なる借地に建てられた実家を相続するときに、地主とトラブルになりやすい理由について解説します。※本連載は、松原昌洙氏の著書『不動産相続のプロが解決!危ない実家の相続』(毎日新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。
建物の所有を目的とする土地の賃借権が「借地権」
実家を相続した場合、多くは土地と建物の所有者は同じで名義も同じです。しかし、なかには、土地を借りて借地権によって実家の建物が建っている場合もあります。通常の所有権と借地権の違いは [図1]のようになります。
通常の所有権の建物は、土地も建物も所有者は同じです。そのため、土地も建物も制約なく自由に活用したり売却したりできます。
一方、借地権とは、建物の所有を目的とする土地の賃借権のことです。そのため、建物は建てた人の所有になりますが、土地は借りる権利だけを有していて土地そのものは地主が所有しています。つまり、借地権によって建物が建っている場合は、建物の名義と土地の名義が違ってきます。
借地権が設定されている土地のことを「底地(そこち)」と呼んでいます。通常の土地と違うのは、底地を持つ地主には土地を利用する権利がないことです。というのも、土地を使用する権利は借地人が持っているからです。
しかし、借地人から地代をもらって収益を得る権利や底地を自由に売却する権利などを地主は持っています。その意味では、地主は所有権の一部である底地権を持っているということになります。
一方で借地人は、借地権によって土地を使用する権利を持っていますが、土地を売却したりする権利は持っていません。建物は借地人の所有物ですが、借地権付きの土地に建っていることから、売却などは底地権を持つ地主の承諾などの制約を受けます。
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株式会社中央プロパティー 代表取締役社長
宅地建物取引士
住宅ローンアドバイザー(社団法人全日本不動産協会認定)
相続アドバイザー(NPO 法人相続アドバイザー協議会認定)
1970年生まれ。
2011年に業界で唯一、共有名義不動産・借地権の仲介を扱う株式会社中央プロパティーを創業。
弁護士、司法書士、不動産鑑定士などの専門家とともに問題解決に取り組む体制を確立し、現在までに約2,500件のトラブル解決を手がける。
著書に『頑固な寿司屋の大将も納得する!?よくある借地権問題』(ギャラクシーブックス)『[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。
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連載不動産相続のプロが解決する「共有名義不動産」と「借地権」問題