相続財産に「不動産」が含まれる場合、親族間のトラブルを招きやすくなります。そして、問題を曖昧のまま放置すると、孫の代まで絡んで収拾がつかなくなるケースもあります。今回は、土地と建物の名義が異なる「借地」に家を建てて住んでいて、地主から借地の返還を求められた場合、更地にして返すべきかどうかを解説します。※本連載は、松原昌洙氏の著書『不動産相続のプロが解決!危ない実家の相続』(毎日新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

借地権トラブルを防ぐカギは「地主との人間関係」

トラブルを防ぐ基本は何事も良い人間関係を維持することです。地主と借地人も同じで、親が長い間築いてきた地主との良好な人間関係を相続人である子がうまく継承していくことが最も重要です。そのために、親の存命中から地主と会ったり、親から借地権契約や更新の内容を聞いておくと借地権の相続のときにも地主とスムーズに手続きが進みます。

 

(画像はイメージです/PIXTA)
地主と「良好な人間関係」を維持することが大切(画像はイメージです/PIXTA)

地主にすべて事前に伝えておくことが大切

相続による借地権の取得やリフォームなど法的に承諾義務のないことであっても、借地権契約に関わる場合には、事前に地主に伝えておくことが大切です。こうした姿勢を見せることによって、地主との関係がうまくいきトラブルに発展しなくなります。

 

例えば、借地権付き建物を居住用に第三者に貸し出す場合には地主の承諾は不要ですが、心情的なところで地主に事前に伝えておいたほうがよいでしょう。聞いていないと地主は不快に思いがちです。

 

また、相続時には誰が相続するか、地代の支払いはどうなるかなど相続内容も、以後の関係を良好にするために地主に伝えておいたほうがよいでしょう。のちに売却することになってもスムーズに事が運びます。

 

外壁の塗り替えなどは大規模リフォームではないので地主への承諾義務はありません。しかし、外から目立つので通りすがりに見た地主には大規模リフォームに見えがちです。事前に伝えておけばもめずにすみます。

地主との取り決めは「文書」で交わしておく

親が地主との取り決めをしていても、合意事項を書面で交わしていないことがほとんどです。仲が良いとか、いつでも応じてくれる関係だとしても、文書で交わしておかないと地主が代替わりしたりするとトラブルの原因になります。文書がなければ、文書を交わしておくようにしましょう。

地主とトラブルになったら、「専門家」に仲介を依頼

地主とトラブルになった場合、当事者同士ではなかなか解決の糸口がつかめません。感情的な立場が正反対だからです。地主は貸してやっているという意識ですし、借地人は長期間借りてやって十分儲けさせているという意識です。

 

こうした場合は、第三者が中に入ることで話が動き出すことが多いので、専門家(弁護士、司法書士、不動産業者など)に仲介してもらうとよいでしょう。

 

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不動産相続のプロが解決!危ない実家の相続

不動産相続のプロが解決!危ない実家の相続

松原 昌洙

毎日新聞出版

本書では、「富裕層ではない一般の人」が親の死亡で実家の不動産を相続したときに起こるトラブルに焦点を当てて、その背景や原因についてわかりやすく説明し、解決策や予防策を紹介します。

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