相続財産に「不動産」が含まれる場合、親族間のトラブルを招きやすくなります。今回は、遺された実家が相続トラブルの焦点となった2つの事例と、その解決法について見ていきます。※本連載は、松原昌洙氏の著書『不動産相続のプロが解決!危ない実家の相続』(毎日新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

「土地の分筆」…ひとつの土地を複数の土地に分ける

(画像はイメージです/PIXTA)
「共有名義の実家」は相続で揉めやすい…(画像はイメージです/PIXTA)

 

家が建っている実家の土地では難しいですが、建物部分以外にある程度の土地(更地)がある場合は、土地そのものを分けてしまう分筆も選択肢のひとつです。

 

〔事例〕
父親が死亡して、残された実家の60坪の土地を兄と妹で相続しました。父親は遺言書で2分の1ずつの相続を指定していたため、そのとおりに相続登記をしました。その後、兄は実家に住むことになり、建物の建っている40坪分の現物分割を要求してきました。妹は兄の強引な要求に困り果てて相談に来ました。

 

問題点のポイント

このように建物がある場合は、持分どおりの土地分割が難しい場合があります。現物分割は、等分割りが原則ですが、差額を金銭で払うことによって平等さを保ち、分割部分を増やすという解決方法が取れる場合があります。

 

解決策の提案と解決のプロセス

このケースでは、2分の1(30坪)ずつ土地を分筆すると建物が両方にかかってしまいます。建物の建っている40坪分の土地を所有しないと使い勝手が悪いという兄の要望はある意味で自然なものです。

 

ただ、妹としては要望自体は理解できるものの自分だけが一方的に譲って損するのには納得がいきませんでした。もともと相続時点では兄も妹も住む予定はなく、妹としてはいずれ売却するつもりでした。

 

どうしても話し合いがつかなければ妹が自分の持分だけを売ってしまうという方法もありましたが、筆者は、必ずしも等分にしなくても対価をきちんと主張して分筆をし直したらどうかという提案をしました。

 

筆者が間に入ることによって、兄も妹に譲歩する姿勢を示し、10坪分の対価を兄が妹に支払うことで兄40坪、妹20坪で分筆することになりました。その後、共有状態を解消した妹は20坪の土地を売却することができました。

 

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松原 昌洙

毎日新聞出版

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